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新春経済講演会・新春賀詞交歓会特別講演収録 原点である流通事業、その機能を更に追求し パートナーの皆様のお役立ちをより一層強化

 1950年の創業以来、販売店様や工務店様とともにより良い木造住宅の普及に努めてきたナイスグループは「環境」「健康」「耐震」をテーマに、流通としての機能強化により一層取り組んでいます。住宅業界はマーケットの縮小といった懸念がある一方、IoTやAIによるイノベーションの可能性も大きく秘めています。新春経済講演会及び新春賀詞交歓会での平田恒一郎代表と平田潤一郎ナイス㈱専務取締役の発言内容をまとめました。

 

世界経済・日本経済に明るい兆し
 

  2017年1月4日の大発会は、アメリカ経済や中国景気の改善への期待感などから1万9,594円16銭と昨年来高値を更新、年最初の取引としては4年ぶりの上昇でのスタートとなりました。日本のGDP実質成長率は2016年1~3月から3四半期連続のプラス成長となっているほか、世界経済を見ても欧州における新車販売台数がリーマンショック以降最高を更新しています。このように、2017年は世界的に好況感が感じられる明るい幕明けとなりました。
安倍晋三首相によるアベノミクスも経済の好循環を生み出しているようです。企業収益は2014年度の経常利益で64兆6千万円と史上最高となったほか、倒産件数も第二次安倍内閣が発足してから3割減少しています。雇用についても、2016年11月の有効求人倍率は1.41倍、都道府県別で見ても全ての県で1を超えるなど25年4カ月ぶりの高水準となりました。

 

成長に向けたキーワードは「第四次産業革命」
 

 更に、安倍首相は名目GDPを2020年までに100兆円増やし600兆円にするという目標を掲げており、その最大のカギと言われているのがビッグデータ、AI(人工知能)、ロボットセンサー、そしてあらゆるモノがネットでつながるIoT(Internet of Things)をキーワードとする「第四次産業革命」です。蒸気機関の発明に伴う第一次産業革命、電力と流れ作業による第二次産業革命、コンピューターの普及による第三次産業革命に対し、第四次産業革命とはAIやロボット技術などを軸に産業構造や社会生活を大きく変えるイノベーション(革新)と考えられます。私たちは今、まさに第四次産業革命の入り口に立っています。そして、第四次産業革命はこれまでを凌駕するスピードと範囲で普及していき、私たちを取り巻く状況は急速に変わっていくものと言われます。自動車の自動運転の普及は目前ですし、ドローンによる商品配送など、これまでの概念では決して思い浮かばないようなシステムやサービスが次々に誕生しています。まさにイノベーションです。
そして、この第四次産業革命の波は例外なく住宅業界にも到来します。スマートフォンを使って遠隔から玄関の鍵を施錠したりエアコンの電源操作が行えるようになったり、センサーを埋め込んで心拍数などを測るといった健康管理ができるなど、これまでの概念とは全く異なる住宅がトレンドとなってくるのです。私たちはこの急速な変化に決して取り残されることなく、しっかりと対応していくことが大切です。
東京大学名誉教授の吉川洋氏は、人口や労働力が減少すると経済成長は望めないという考えは短絡的すぎる、イノベーションがあれば成長を促すことはできると言っています。また、元金融アナリストのデービッド・アトキンソン氏も、GDPは「人口×生産性」であり、イノベーションによって生産性を向上することができれば経済成長することができると述べています。日本は今、第四次産業革命によるイノベーションが必須となっているのです。

 

 

皆様へのサポート新機能の強化を目指す
 

 こうした凄まじいスピードの変化に加え、住宅業界には人口減少や住宅着工戸数の減少、高齢者向け住宅の不足、ニーズの多様化など、様々な課題があります。こうした数々の課題に立ち向かい生き残っていくためには、販売店様、工務店様、メーカー様とナイスグループが更に連携を深め、家づくりの本質というものを総合的に追求していくことが重要だと考えています。
住宅事業を併せて行うナイスグループとしては、しっかりと家づくりを理解した流通会社として、皆様のお役に立てる付加価値のある流通を目指しています。多くのメーカー様がお持ちの幅広いノウハウを頂戴し、そこに弊社自らが家づくりを実践し蓄積してきたノウハウを組み合わせ、販売店様や工務店様とコミュニケーションを密に取りながらお客様の生活シーン・生活スタイルに合わせたベストの商材をセレクトしてご提供できるような機能を強化していきます。お客様の多様なニーズに合わせたものを組み合わせてパッケージ化し、皆様の業務の効率化を図りつつ、同時にお客様にも説明のしやすいような商品化を実現するなど、流通機能をブラッシュアップしていくことに注力いたします。
家づくりには、様々な数値計算や図面作成、申請書類作成など煩雑な作業が発生します。ナイスグループには総勢250人の建築士がいます。グループ会社にはITソリューションサービスをご提供するナイスコンピュータシステム㈱があります。ナイスサポートシステムではこれらの機能を組み合わせ、工務店様や販売店様に対して統合的なサポートができるような新しい機能を充実させていきたいと考えています。このほかにも弊社グループには様々な事業を行うグループ企業があります。今年はこれらの事業をより機能的に融合し強化させていきたいと考えています。真のお役に立つソリューションをコーディネートしてご提供していけるよう、企画力を高める年にしたいと思います。

 

加速度的に普及していく木材利用と木造建築
 

 ナイスグループでは、全事業を通じて「環境」「健康」「耐震」という3つの大きなテーマに取り組んでいます。
その一つ、「環境」への取り組みとして挙げられるのが、弊社グループのルーツでもある木材流通です。森林を育てることで二酸化炭素を吸収し、二酸化炭素を固定化した木材を伐採して利用し続けるとともに、また植林して更に二酸化炭素を吸収するという2つの循環を実現する、サステナブル社会の形成を実現できる大変優れた資源です。日本における森林蓄積は毎年1億増加しており、このうち使用されているのはわずか2,000万m3となっています。林業を成長産業に位置付けている日本にとって、残り8,000万m3をいかに活用していくかが大きな課題です。こうしたことから今、一戸建住宅だけでなく非戸建分野への木材利用が急速に伸びており、今後、木材の利用は加速度的に普及していくと期待されます。
木材新時代に本格的に突入した世界において21世紀はまさに「木材新世紀」であり、皆様とともにこの時代を先導していきたいと考えております。

 

取引先様の環境貢献型住宅の取組をサポート
 

 私どもナイスグループは、住宅が健康に与える影響について積極的な啓発に向けた取組を進めており、神奈川県の黒岩祐治知事が出版された書籍「百歳時代 ―未病のすすめ―」では、弊社グループを「医食農住同源」に取り組む企業として取り上げてくださいました。
国土交通省は先般、住宅の断熱化により血圧が低下するという調査結果を発表しました。ヒートショックなどを原因として家の中の事故で亡くなる方の数は交通事故で亡くなる方の3倍以上に上ります。残念ながら、現行の断熱性能を満たす住宅は5%に過ぎません。こうした現実を解消し健康寿命の延伸を実現するためにはスマートウェルネス住宅の推進が重要となってきます。国は住宅のZEH化に向けて様々な施策を講じており、2016年は「ZEH元年」とも言われました。今後、2020年までには住宅についても省エネ基準の適合義務化が開始されるなど、省エネへの動きは加速していくと思われます。
弊社グループでは一戸建住宅商品において、建築から解体までの全期間を通じて二酸化炭素の排出がマイナスとなる、ZEHを超える「LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅」を2012年にすでに開発するなど、スマートウェルネス住宅に関するノウハウがあります。これらのノウハウを集約し、環境貢献型住宅に取り組まれる販売店様・工務店様へのサポート商品「ZEHパッケージ」を開発しました。これは、ZEHの3要素となる断熱、省エネ、創エネに関わる推奨商材をパッケージ化したもので、これらを使用することでZEHを建築できるという商品です。外皮平均熱貫流率(UA値)は0.6W/㎡K、一次エネルギー消費量は平成25年基準より20%以上削減します。更に、断熱材の素材及び断熱方法によってより高い断熱性能を実現する「ZEHプレミアムパッケージ」や木質素材をふんだんに取り入れた「ZEHスーパープレミアムパッケージ」など、ニーズに合わせた商品もご用意しています。これらプレミアムパッケージのUA値は0.46W/㎡Kと、日本最高クラスの外皮性能水準と言われる「HEAT20」のG2クラスとなっており、ZEH支援事業における補助金取得の基準を満たしています。これからの住宅トレンドに対応するべく、皆様にご活用いただきたいと思います。
ナイスグループでは、家1棟分の幅広い建築資材を取り扱うとともに、住宅そのものも独自に開発し、供給しています。更に、スマートウェルネス体感パビリオンにおいては様々な実証データを蓄積しています。ここで培ったノウハウをもとに、皆様に対しては「ZEHパッケージ」をはじめ、今後もスマートウェルネスに関する商材をパッケージ化した商品をご提供するべく、現在開発・準備を進めているところです。

 

 

耐震化率100%の達成が住宅業界の使命
 

 阪神・淡路大震災では、倒壊した住宅が凶器となって数多くの尊い命を奪いました。その悲劇を二度と繰り返さないという強い思いのもとで開始した「住まいの構造改革」キャンペーンでは、旧耐震基準の住宅については建て替えを、2000年の法改正以前の新耐震基準の住宅については耐震診断と耐震改修の必要性を訴え続けています。
残念ながら、昨年4月に起きた熊本地震では、やはり旧耐震基準で建てられた住宅が倒壊し、人々の命を奪いました。耐震化率100%の達成に向け、改めて皆様と住宅の耐震性の重要性について訴え続けていきたいと決意しています。

 

流通機能向上で皆様へのお役立ちを追求
 

 今年、ナイスグループは皆様とともに業界環境の変化に対応できる仕組みを全力で構築していきます。流通業である私どもの役割は、皆様の業務の効率化、工務店様の家づくりにマッチした商品提案、安定供給やジャストインタイムの付加価値のある物流、決済機能や在庫機能、国の施策や住宅事業によるマーケティングを通じた情報提供といった機能をご提供し、皆様に向けてスマートウェルネスなど、時代にマッチしたパッケージ商品をご提供していくことです。
今年は事業の原点である流通事業について更に追求する年にしていきたいと考えておりますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。