1. TOP
  2. ナイスビジネスレポート
  3. ナイス㈱仙台物流センター事務所棟 日本初となるCLTの平面混構造で建設へ

ナイス㈱仙台物流センター事務所棟 日本初となるCLTの平面混構造で建設へ

 ナイス㈱は仙台物流センターの事務所棟について、日本で初めてとなる同一フロアにCLT(直交集成板)造と鉄筋コンクリート造を混合させた平面混構造による建設の計画を立てています。この計画は先ごろ国土交通大臣による建築確認前の構造計算の認定を受け、宮城県より建築確認証も取得しました。林野庁の「CLT等新たな製品・技術活用建築物実証事業」及び宮城県の「森林整備加速化・森林再生事業」にも採択されたこの計画は、国産材の需要拡大につながることが期待されるCLT建築の普及に向け、今後の設計施工マニュアルなどにも生かされていく予定です。

 

東日本大震災からの復興と国産材の需要創出
 

ナイス㈱仙台物流センターの事務所棟は、東日本大震災において6メートルを超える津波により壊滅的な被害を受けました。震災直後よりプレハブ工法による仮設事務所にて業務を行ってきましたが、このたびCLTを活用した2階建ての事務所棟が新たに建てられることになります。
今回の建設計画では、技術的な情報提供によって将来的なCLT建築物の大型化実現に寄与できるよう、ヨーロッパで一般的となっているCLT造と鉄筋コンクリート造を混合させた平面混構造のプランが日本で初めて用いられています。
今回の建設計画に当たりナイス㈱では、これまで数々の免震マンションを手掛けてきたノウハウを生かし、タワーマンションなど主に高層建築物において地震力に対して建築物が振動する加速度や変位を計算する「時刻歴応答解析」という手法を用いて、自社で構造計算を行いました。
新たな建築材料であるCLTを建物の構造体として使用する場合には、一棟ごとに構造計算をした上で国土交通大臣の個別認定を取得する必要があります。
今回の建築計画では、構造計算の内容検証などについて、国土交通大臣の指定機関である(一財)ベターリビングに設置された構造安全性能評価委員会にて審査が行われ、技術的基準への適合確認などを経て性能評価書が交付されました。そしてこのたび、国土交通大臣による建築確認前の構造計算の認定を取得し、それを受けて宮城県より建築確認証も取得しました。

 

内装はCLTの現しを実現
 

この建物は建築面積187.65㎡、延べ床面積356.70㎡の2階建てで、1階に事務室、2階に会議室を配置します。
形状は14メートル×12メートルの長方形の整形で、事務室および会議室ともに12メートル×8メートルの大空間を設けるプランです。
断熱面での仕様では、ナイスグループの一員であるパヴァッテクス・ジャパン㈱が提供するヨーロッパ発の木質系断熱材と、十分な断熱性能を持つCLTとを組み合わせることによって、高い断熱性能を実現しています。パヴァテックス製の木質系断熱材は建物の外側に施工する外断熱工法であることから、室内側には断熱材の施工は不要となり、結果としてCLTを内装現しとして配置でき木質感をふんだんに醸し出すプランとなっています。
この建物に用いられる全てのCLTには、地元である宮城県の良質なスギが使用されます。挽き板(ラミナ)をCLTにする加工は銘建工業㈱で行われ、30ミリの挽き板を5層接着したものが壁と屋根に、同7層接着したものが2階の床に使われます。使用されるCLTは約80枚、総材積は146.82m3となっています。
施工はナイス㈱建設事業本部が行い、5月に着工、年内の竣工予定です。建設の節目では、建て方見学会や上棟見学会などの見学会の開催が予定されています。

 

 

 CLT建築物の大型化を実現するためには、耐火建築物として適合させるために鉄筋コンクリート造をはじめとする耐火構造による避難経路を確保する必要があり、CLTと鉄筋コンクリート造や鉄骨造との組み合わせ技術を検証していくことが重要となります。
こうした考えから、今回はRC造の階段室を建物の主要な構造部(コア部分)とし、周囲の壁や床、天井にCLTを用いました(下図)。

 

 

CLT普及に向け、合理的な施工方法も提案
 

CLTと基礎部分の接合部については、通常であれば基礎部分にボルトを埋め込んで柱やパネルといった部材と接合するアンカーボルトを使用し、この方法ではプレカット加工する場所や長さ、太さについて大変高い精度が求められます。
そこで今回は、より簡易な施工で効率的な接合方法の提案として、側面から鋼製プレートで固定する手法が採用されました。特別に考案した接合金物をビスやボルトで取り付けるという方法が、強度試験などを重ね、全国で初めて試みられることとなります。

 

国産材利用に向けて注目される新製品CLT
 

CLTは、挽き板の層を繊維方向が互いに直交するように重ねて接着したもので、オーストリアで開発されました。ヨーロッパを中心に中・大規模建築物や高層建築などに使われ、急速に普及が進んでいます。
日本では国産材の利用拡大に向け、新たな需要創出につながる新材料として注目を集めています。2013年12月には、直交集成板の名称で日本農林規格(JAS)が制定されたほか、今年4月には一般設計法が国土交通省より告示・施行されました。
国土交通省は今後、9月を目途に設計施工マニュアルを取りまとめるとともに、各地で講習会を実施する予定です。
ナイスグループでは、日本初となるCLTと鉄筋コンクリート造の平面混構造である仙台物流センター事務所棟の建築工事を通じて様々な実験や解析などを積極的に行い、これらのプロセスや実証データを取りまとめて公開していく予定です。