
地盤の崩壊が各地で見られる
今回の一連の地震は熊本県を走る布田川(ふたがわ)・日奈久(ひなぐ)断層帯における横ずれ断層型の直下地震であり、断層に近い益城町や西原村ではほかのエリアと一線を画し甚大な被害が出ていました。
益城町は熊本都市圏のベッドタウンとして1万3,000を超す世帯を有する住宅地であり、水源を有する湧水エリアでもあります。川の支流なども多く地盤が比較的弱かったと考えられ、道路のあちらこちらで地割れや段差が生じており、自動車が通行できない状況でした(写真①②③)。また、液状化により、マンホールが浮き上がっている箇所や砂が噴出した箇所も多数確認されました(写真④)。
築年数が古い建物を中心に被害大
建物の被害としては、鉄骨造や木造など構造の種別にかかわらず、旧耐震基準による建物をはじめとして建築時期が古いと思われるものに倒壊や激しい損傷など大きな被害が見られました(写真⑤⑥)。被害の大きかった建物の中には、壁の中に筋かいが入っていなかったり、基礎や柱、梁などの接合部に補強金物がないものなども確認されました。
台風被害が多い九州エリアでは瓦屋根の建築物が多く、倒壊したり損傷が激しい建物の多くが瓦屋根ということも大きな特徴の一つです。
なお、建築時期が新しいと見られる建物については古い建物が倒壊した近くであっても目立った被害は見られないという状況も多々ありました(写真⑦)。
擁壁や塀の耐震性不足を確認
建築物以外にも被害が出ています。擁壁やブロック塀などでは、基礎の部分から根こそぎ倒壊している様子がいたるところで見受けられました。そのほとんどは、中に鉄筋が組まれていなかったり、組まれていても数に不足があったり、見合うだけの基礎が打たれていないなど、耐震性が不足していることが確認されました(写真⑧)。