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緊急特集 平成28年熊本地震 度重なる巨大地震で拡大した建物被害

 マグニチュード6.5の前震とマグニチュード7.3の本震による震度7をはじめ、震度6弱以上の激しい揺れを7度も引き起こした「平成28年熊本地震」。震源に近い益城町では多数の大きな揺れに見舞われるなど、建物被害が拡大しています。今回は緊急特集として、建物被害を拡大させた地震の概要とともに、NPO法人住まいの構造改革推進協会による現地調査から見えた建物被害の状況についてご報告します。

 

 

波状的に規模の大きな地震が発生
 

「平成28年熊本地震」における住宅被害は全壊が1,675棟、半壊が1,557棟、一部破損が2,617棟と合計で5,849棟に及んでいます(消防庁発表4月25日7時00分現在)。特に14日午後9時26分に発生したマグニチュード6.5の前震と16日午前1時25分に発生したマグニチュード7.3の本震の両方で震度7を観測した熊本県益城町では、街の姿が一変してしまうほど甚大な被害に見舞われ、多数の住宅が倒壊や損壊してしまう状況となっています。
今回の地震は、気象庁の発表によると布田川(ふたがわ)断層帯と日奈久(ひなぐ)断層帯の2つの活断層帯において横ずれを起こしたことによるるものであり、震源地が深さ10㎞と浅い地点で発生した直下型地震となっています。前震、本震、余震を含め、震央が断層に沿って集中して分布しました(図1)。これらの断層に近いエリアで強い揺れが観測されており、建物被害も大きくなっています。

 

 

 断続的に続いた規模の大きな余震も被害を拡大させた要因と考えられます。前震と本震の間に震度6弱以上の地震が2度発生しており、本震の発生後も3回起きています(表1)。また、前震以降に発生したマグニチュード3.5以上の地震の回数は200回を超え、内陸及び沿岸で発生した地震の中では2004年の新潟県中越地震(マグニチュード6.8)を抜いて過去最多となりました。

 

 

低層に被害を与える「キラーパルス」を確認
 

東京大学地震研究所によると、前震及び本震で強い揺れを観測した熊本県益城町と熊本市における速度応答スペクトル(地震動がどの程度の揺れの強さを生じさせるかを示したもの)を算出したところ、どちらの観測点でも本震の方が前震を上回る強い揺れであったことが分かりました(図2)。

 

 

 また、揺れが1往復する時間である地震の周期について、前震・本震ともに0.4~0.6秒の短い揺れと、1~2秒の揺れと2つのタイプが強かったことが確認されています。とくに、周期が1~2秒の揺れは「キラーパルス」と呼ばれており、低層建物に大きな被害を与えるという特徴があります。1995年の阪神・淡路大震災や2004年の新潟県中越沖地震でもこのキラーパルスが確認されており、甚大な建物被害をもたらしました。
今回、最大震度を観測した熊本県益城町では阪神・淡路大震災よりも速度応答スペクトルの値は大きくなっており、建物被害が拡大した要因の一つと考えられます。
 
 
熊本県の住宅の耐震化率は76%にとどまる
 

熊本県によると2013年の調査結果における住宅の耐震化率は76%となっています。全国での耐震化率82%と比較すると低い水準にとどまっていると言えます。九州は過去に発生した地震が少なく、直近では2005年の福岡県西方沖地震(マグニチュード7.0、最大震度6弱)がありましたが、それ以前は1968年の日向灘地震(マグニチュード7.5、最大震度5)までさかのぼります。
国の地震調査研究推進本部が2013年に公表した長期評価でも、マグニチュード6.8以上の30年以内の地震発生確率は九州北部で7~13%、中部で18~27%、今回の布田川(ふたがわ)-日奈久(ひなぐ)断層帯を含む南部で7~18%といずれも低い評価となっていました。
九州エリアでは自然災害というと地震ではなく台風への対策が中心で、台風時の強い風雨に耐えられるよう屋根材として瓦が多用されていることも住宅被害に影響を与えたと言えます。