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日銀のマイナス金利で「フラット35」が史上最低金利を更新 超低金利や税制優遇で住宅購入のチャンス到来

  日本銀行により導入された異例の「マイナス金利」政策。その影響は住宅にも及び、長期固定型を中心とした住宅ローン金利の水準は過去最低となっています。今後控える10%への消費増税への対策として国は過去最大規模の税制優遇や給付金制度を講じており、優遇策が揃い踏みの状況にあります。増税前の「建て時」をこれから迎えるにあたり、今回は住宅ローンの金利の状況や税制優遇策などをまとめました。

 

マイナス金利が住宅ローンにプラス
 

2%の物価上昇率(インフレ)目標の達成に向け、日本銀行が導入したマイナス金利という異例の政策が2月16日からスタートしました。マイナス金利とは、金融機関と日本銀行との間に適用されるもので、これにより金融機関が日本銀行に預け入れした際、通常なら利息を受け取れるものが、逆に金利分を手数料として支払うことになります。
マイナス金利の導入を受けて、住宅ローンの金利に早速プラスの影響が出てきています。(独)住宅金融支援機構の全期間固定金利型住宅ローン「フラット35」の3月の借入金利は、返済期間が21年以上の最頻金利(取り扱い機関が提供する最も多い金利)で1.25%と、2月の1.48%から0.23ポイントも下げ、2003年の取り扱い開始以来最低となりました(図1)。

 

 

 2009年以降は全体として下降傾向にありましたが、ここ10年間で最も高かった2009年5月の3.32%と比較すると、2.0ポイント以上も低くなっています。
 
 
 
長期固定型は史上最低水準に
 

住宅ローンの金利には種類ごとに指標となるものがあり、その指標を基に金融機関が金利を決定しています。長期固定型の金利は、新規に発行された償還期間10年の国債の流通利回りが指標として用いられます。マイナス金利の導入でより利回りの高い国債の購入が増え、国債価格が上昇したことによって2月9日には東京債権市場において10年物国債の利回りが史上初のマイナスとなりました。その後もマイナス0.1%を下回るなど過去最低を更新しており、異例の事態となっています。
この動きに連動して、各金融機関では長期固定型の住宅ローン金利を引き下げてきています。3月1日時点における主要銀行81行の10年固定型の金利(最優遇金利)は、平均金利で2月に比べて0.101ポイントと低下しています。金利分布を見ると1.1%台が最も多く、中には0.4%台という超低金利のものまで出てきており、史上最低水準にあります(WhatzMoney㈱調査より)。
一方、変動型の金利については金融機関で優良企業に対して1年以内の期間で貸し出す際に適用する「短期プライムレート」が指標に用いられています。短期プライムレートの最頻値は2009年より現在まで1.475%と変わらず推移しており、これを受けて各行の変動型の店頭金利は2.475%と横ばいとなっています。実際には、 各行が定めた条件を満たすことで店頭金利より金利が引き下げられる優遇幅が設けられており、それが適用金利となります。
長期固定型を中心に金利が低下傾向にある中で、変動型の短期金利についても低下圧力が働き、一部の金融機関では優遇幅を拡大させる動きなども見られています。

 

全期間固定金利「フラット35」に高い注目
 

長期固定型の金利が低下傾向にある中、「フラット35」が今、注目を集めています。「フラット35」は最長35年の全期間固定金利型の住宅ローンです。前述した通り、返済期間が21年以上の最頻金利は1.25%と10年固定型の金利に近づいており、この史上最低水準の金利が返済終了までずっと続くことになります。
直近10年間で最も金利が高かった2009年5月の最頻金利3.32%と今年3月の最頻金利1.25%で比較すると、借入額2,600万円を35年ローンで組んだ場合の毎月返済額はそれぞれ10万4,761円と7万6,462円となり、2万8,299円の差が生じることになります。総返済額で見ると、金利3.32%の場合は4,399万9,768円、1.25%の場合は3,211万3,997円となり、その差は約1,189万円にも上ることになります(図2)。

 

 

 「フラット35」のメリットは現在の低金利の側面だけではありません。民間の住宅ローンと比べて保証料が不要なほか、繰り上げ返済手数料が無料、団体信用生命保険への加入が任意といったメリットがあげられます。
また、「フラット35」では新築する住宅について、規模や規格、断熱性、耐久性、維持管理などに関する技術基準が定められています。この基準に適合しているかについて設計段階と建設段階の両方で第三者による検査が行われるため、一定の住宅の質が保たれていることをお施主様に示すことができ、安心につながる点も大きなメリットとなります。
 
 
 
「フラット35S」なら更に金利引き下げ
 

省エネルギー性能や耐震性能など、「フラット35」に求められる技術基準よりも質の高い住宅を建てる場合には「フラット35S」が適用されます。「フラット35S」は一定期間にわたり金利が更に0.3%引き下げられます。この引き下げにより、今年3月の返済期間21年以上の最頻金利は0.95%と、すでに1.0%を割り込んでいる状況にあります。
「フラット35S」は「金利Aプラン」と「金利Bプラン」の2つに更に分けられます。Aプランは長期優良住宅や認定低炭素住宅、住宅事業建築主の判断の基準(トップランナー基準)に適合する住宅などに適用されます。この場合、当初10年間にわたり金利が0.3%引き下げられます。Bプランは断熱等性能等級4を満たす住宅や一次エネルギー消費量等級4以上の住宅などに適用され、金利引き下げ期間は当初5年間となります。
「フラット35S」Aプランで借入額2,600万円、借入期間35年で試算した場合、当初10年間の毎月返済額は7万2,789円、11年目以降は7万5,449円となります。総返済額は3,136万9,236円となり、通常の「フラット35」と比較すると約75万円負担が少なくなります(図2)。長期優良住宅や認定低炭素住宅といった高性能な住宅を取得するにあたっては、まさに現在は格好の時機となっています。

 

過去最大規模の住宅ローン減税
 

国は消費税率引き上げによる負担軽減を図るため、2014年4月の8%への増税時から住宅取得における様々な優遇策を講じています。
住宅ローン減税は、住宅ローンを利用して自己居住用の住宅を取得した場合に、毎年末のローン残高の1%に相当する金額が10年間にわたり所得税から控除される制度です。
一般住宅の場合、対象となる年末ローン残高の上限は4,000万円で、控除率は1%なので年間の控除限度額は40万円、10年間での最大控除額は400万円となります(図3)。長期優良住宅や低炭素住宅といった認定住宅の場合には、対象となる年末ローン残高の上限は5,000万円に拡充され、年間の控除限度額は50万円、10年間での最大控除額は500万円と一般住宅よりも優遇されます。

 

 

 所得税から控除しきれなかった場合には、所得税の課税総所得金額の7%かつ13万6,500円を上限として住民税から控除されます。
住宅ローン減税の主な適用要件は、①新築または取得した日から6カ月以内に自らが入居すること、②合計所得金額が3,000万円以下、③登記簿上の床面積が50㎡以上、④住宅ローンの借入期間が10年以上などです。
 
 
 
「すまい給付金」で更に負担を軽減
 

住宅ローン減税と併せて受けられる優遇策として「すまい給付金」があります。すまい給付金は、住宅ローン減税による負担軽減効果の恩恵を十分に受け取ることができない住宅取得者に対し、住宅ローン減税と併せて消費税率引き上げによる負担の軽減を図る制度です。そのため、収入や扶養人数などに応じて給付額が異なる仕組みとなっており、消費税率8%時は10万円~30万円の3段階、10%時は10万円~50万円の5段階に分かれています(図4)。

 

 

 住宅ローンを利用する場合には、自ら居住することや床面積が50㎡以上あることのほか、所定の第三者検査を受けていることが要件となります。
また、住宅ローンを使わずに現金で取得する場合でも、50歳以上や年収650万円(目安)以下であること、「フラット35S」の技術基準を満たすことなどの追加の条件を満たせば給付が受けられます。
 
 
 
超低金利と優遇策で過去最大の恩恵
 

史上最低となる超低金利に加え、過去最大規模の住宅ローン減税とすまい給付金の合わせ技により、現在はまさに住宅取得においては最大の恩恵が受けられる「建て時」となっています。
借入当初10年間を考えてみると、「フラット35S(金利Aプラン)」で2,600万円を35年間で借りた場合の10年間の総返済額は873万4,680円となります。そのうちローン元金分は656万9,232円となりますので、支払った利息額は216万5,448円となります(図5A)。

 

 

 年収450万円、給与所得者+配偶者+子〈7歳以下〉の想定では、これに住宅ローン控除の10年間の総額215万6,700円(図5B)とすまい給付金の20万円(図5C)が受け取れることになります。つまり、利息を支払っても19万円超がプラスとなることになります(図5D)。
借り入れる方の年収や家族構成などにより、受けられる恩恵には幅があるものの、この超低金利によるメリットはとても大きいと言えます。なお、住宅ローン控除額やすまい給付金については国土交通省のすまい給付金のホームページでシミュレーションできます(http://sumai:-kyufu.jp/simulation/)。
 
 
 
子育て世代にも持ち家取得のチャンス
 

持ち家世帯率を世代別に見ると、40歳代以上は5割を超えているものの、子育て世代である20歳代後半から30歳代は低く、30歳代前半は約3割、20歳代後半は約1割に留まっています(図6)。

 

 

 「フラット35」の借り入れ申込限度額を見ると、年収450万円で35年返済の場合、2009年5月の適用金利3.32%時には3,257万円だったのに対し、現在の1.25%という超低金利の状況では、4,462万円と約1,200万円も増えています。日銀のマイナス金利がもたらした超低金利の状況は、持ち家の所有意思を持ちながらも資金面の問題から購入に踏み切れなかった子育て世代にも、持ち家取得の絶好のチャンスとなっています(図7)。