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林野庁 競争力強化と木材需要の創出で国産材の需要拡大を図る 森林・林業基本計画の改訂案を発表

今後20年の森林・林業施策を示す
 

 林野庁は今後の森林及び林業に関する政策指針となる「森林・林業基本計画」の改訂案をまとめました。森林・林業基本計画は、今後20年程度を見通して森林や林業に関する各種施策の基本的な方向を明らかにするもので、おおむね5年ごとに見直されます。森林の有する多面的機能の発揮と林業の持続的かつ健全な発展という基本理念を実現し、国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展を図ることを目的としています。
改訂案の背景として、戦後約1,000万haの人工林が造成され、森林の総蓄積量が約50億m3に達するなど森林資源が充実しているものの、50年以上育成された10齢級を超える木が全体の半分を占め、2020年には約7割を超える見込みとなっています。そのため、森林資源を有効活用しながら計画的に再造成すべき時期を迎えており、日本の森林は今までにない新たな段階に入ったとしています。
木材の利用面では、現行の基本計画に基づき森林経営計画制度の普及・定着や木材利用の拡大を図るための木材加工・流通施設の整備、公共建築物の木造・木質化などを推進してきました。その結果、2009年に6,500万m3であった木材総需要量は2014年には7,600万m3に増加しました。そのうち国産材の供給実績は1,800万m3から2,400万m3に増加したほか、製材用材については原料の国産材化が進展し、国産材の割合は75%に達しています。

 

2025年に木材自給率50%達成へ
 

 改訂案では、森林の有する多面的機能の発揮並びに林産物の供給及び利用に関する施策、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策、施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項などの具体的な施策が示されています。
これらの施策が進展することを前提として2025年の総需要量の目標値を7,900万m3に据え、国産材供給は4,000万m3まで増やし、木材自給率50%の達成を目指す計画です。
国産材の需要拡大に向けては、木材産業の競争力強化と新たな木材需要の創出が盛り込まれました(図1)。具体的な施策としては、高い競争力を確保するため大型製材工場の規模拡大や中小工場の連携、加工流通施設の整備などによる安定供給体制の構築、生産者が意匠性やストーリー性を付加した高付加価値な地域材の供給などにより木材の活用を図るとしています。

 

 

 新たな木材需要の創出については、公共建築物をはじめ商業施設などの木造化や内装の木質化を推進し、都市部の市町村における方針の策定を進めることが盛り込まれました。また、CLTなど新たな木質部材の開発・普及や、中高層建築物の木造化に必要な耐火部材などの開発・普及、木造建築に携わる人材の育成などが示されています。このほか、土木分野への利用や輸出の促進などにより新たな木材需要の創出を図る方針です。
森林・林業基本計画の改訂案は5月に閣議決定され、6月に国会に提出される予定です。

 

林野庁 森林・林業基本計画案
http://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/singikai/160222si.html