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国土交通省 林野庁 2015年度補正予算・2016年度予算 高度省エネ住宅や木材需要創出を支援

 政府は、2015年度補正予算案および2016年度予算案を閣議決定し、国会に提出しました。今後国会での審議を経て成立する見通しです。

国土交通省
地域型住宅グリーン化事業を拡充
 

国土交通省では、2015年度補正予算として一億総活躍社会の実現に向けた緊急対策に436億円を計上しました。そのうち三世代同居・近居がしやすい環境づくりのための施策(63億円)として地域型住宅グリーン化事業の実施内容の拡充を盛り込みました(17億円)。
同事業は各地域における資材供給、設計、施工などの連携体制の構築により良質な木造住宅を整備する団体を支援するもので、補助対象となる工事内容に「三世代同居対応住宅」としてキッチン、浴室、トイレまたは玄関のうち、いずれか2つ以上を住宅内に複数箇所設置するための工事が追加されました。
補助対象となる住宅にこれらの措置を講じる場合、補助額が1戸当たり30万円を限度に加算されます。この追加募集枠は補正予算成立後に確定しますが、募集は先行して行われており、1月18日の締め切りとなっています。
また、2016年度予算でも同事業に110億円が計上されました。2016年度事業実施分からは補助対象となる住宅が拡充され、高度省エネ型としてゼロ・エネルギー住宅や低炭素住宅に加え、「建築物省エネ法」に基づき省エネ性能が通常より高いと認定された「性能向上計画認定住宅」が新たに補助対象となります。性能向上計画認定住宅については、建設工事費の1割以内かつ1戸当たり100万円を上限に、掛かり増し費用の2分の1が補助されます(図1)。

 

 

長期優良住宅化リフォーム推進事業も拡充
 

 同省では2016年度予算に長期優良住宅化リフォーム推進事業の拡充を盛り込み、40億円を計上しています。同事業は、インスペクションの実施とリフォーム履歴及び維持保全計画の作成を行い、耐震性能を含め長期優良化を図る住宅のリフォーム工事について補助するものです。
今回、対象となるリフォーム工事に三世代同居に向けた工事が追加されました。地域型住宅グリーン化事業と同様に、キッチン、浴室、トイレまたは玄関の増設工事で改修後にいずれか2つ以上が複数となる工事が対象となります。補助額は、三世代同居改修工事を含むリフォーム工事の場合は1戸当たり150万円、三世帯同居改修工事単独の場合は1戸当たり50万円を上限に、工事費用の3分の1となります。
国土交通省の住宅関連ではこのほか、2015年度補正予算にサービス付き高齢者向け住宅の整備の加速(189億円)や消費増税に伴う負担軽減策の「すまい給付金」の延長措置(200億円)が、2016年度予算には空き家対策総合支援事業等の創設(20億円)、サービス付き高齢者向け住宅整備事業の拡充(320億円)などが盛り込まれています。

 

林野庁
都市の木質化を推進し木材需要を創出
 

 林野庁では、2016年度予算に新たな木材需要創出総合プロジェクトとして16億円が計上されました。これは、林業の成長産業化のために木材利用が進んでいない都市部の建築物の木質化を推進するべく、製品や技術の開発・普及、木造建築物、木製品、木質バイオマスなどの分野における地域材利用の拡大を図り、新たな木材需要を創出しようとするものです。
具体的には、工務店と林業・木材加工業の連携による住宅づくりへの支援や海外でのモデル建築による日本産木材の利用・展示を行う取り組みへの支援などによる地域利用促進(11億円)や、CLTの技術開発や設計者の育成などによる都市の木質化に向けた製品技術の開発・普及(5億円)が示されています。
また、次世代林業基盤づくり交付金に200億円が計上されており、木材のサプライチェーンを構築するための路網整備や伐倒・搬出を支援する次世代木材生産・供給システム構築事業が新設されます。
2015年度補正予算ではこのほか、「総合的なTPP関連政策大綱」に基づき、合板・製材の国産シェアを拡大するべく、大規模で高効率な加工施設の新規導入や改良、間伐材の生産及び路網整備などを一体的に推進することで低コスト化を図る合板・製材生産性強化対策事業に290億円が計上されました。