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経済産業省・国土交通省・環境省 2020年度住宅支援策 住宅の省エネ性能の向上に手厚い支援

 地球温暖化防止に向けた動きが世界的に加速するなか、政府はパリ協定に基づき住宅の省エネ・省CO2化に向けた取り組みを進めています。2020年度予算においても、ZEHをはじめとした高性能住宅の新築や、既存住宅における性能向上化リフォームなど、手厚い支援制度が打ち出されています。

 

新築住宅
3省連携によるZEHの推進を継続

 ZEHとは、外皮の断熱性能を大幅に向上させるとともに、高効率な設備・システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ、一次エネルギー消費量を基準比で20%以上削減という大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーの導入により、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロになることを目指した住宅です。政府は、ZEHについて、2020年までにハウスメーカー等が新築する注文一戸建住宅の半数以上で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指すという政策目標を設定しています。2018年度より経済産業省と国土交通省、環境省の3省が連携した取り組みが推進されており、今年度も引き続きZEHの普及に向けて支援を行います(図1)。

https://krs.bz/koushuu-setsumeikai/s/2020zeh-doc

 

環境省
ZEHに定額60万円

 環境省では、ZEHの要件を満たす注文・建売の一戸建住宅を新築する者に対して、一戸当たり定額60万円、更に蓄電システムを設置する者に対して別途2万円/kWh(上限20万円かつ補助対象経費の3分の1以内)を補助します。このほか、CLTなどの低炭素化に寄与する素材を一定量以上使用した場合や、地中熱ヒートポンプシステムなどの先進的な再生可能エネルギー熱利用技術を活用する場合に定額加算され、最大で90万円が補助されます。
また、寒冷地、低日射地域における一次エネルギー消費量を75%以上削減した「Nearly ZEH」、都市部狭小地における2階建て以上の住宅を対象とした太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー設備の導入を求めない「ZEH Oriented」についても、昨年度に引き続き申請できます。同省は、5月上旬に先着順にて一次募集を実施する予定です。

 

経済産業省
「ZEH+」に定額105万円

 経済産業省では、再生可能エネルギーの自家消費拡大を目指したZEHである「ZEH+」など、新たなZEHモデルの実証について支援しています。「ZEH+」とは、ベースとなるZEHの要件をクリアした上で、一次エネルギー消費量の削減率が5%上乗せとなる、基準比25%の削減がなされたものです。加えて、①外皮性能の更なる強化、②HEMSなどの高度エネルギーマネジメントの導入、③電気自動車の充電設備の設置という三つの要件のうち、二つ以上の実施が必要です。
補助額については、一戸当たり定額105万円です。環境省と同様、蓄電システムや低炭素化に資する素材等の使用が定額加算の対象となります。また、「Nearly ZEH」についても申請が可能です。このほか、今年度は蓄電池や電気自動車に蓄えられた電気を家庭用に有効活用するためのV2H設備、燃料電池の導入により更なる再生可能エネルギーの自家消費拡大を目指した「次世代ZEH+」についても実証がなされます。補助額は同じく定額105万円で、蓄電池等への費用に対する支援もなされる予定です。募集については、「ZEH+」「次世代ZEH+」ともに事前枠付与方式で4月頃に募集が開始される予定です。
2019年度補正予算事業として、停電時のレジリエンス機能を強化した「ZEH+R」と、災害時に地域に貢献する施設などと住宅とが一体となってネット・ゼロ・エネルギーの達成を目指す「コミュニティZEH」についての支援も行われます。「ZEH+R」については、一戸当たりの補助額が定額115万円に増額され、蓄電システム、太陽熱利用システム、停電自立型燃料電池のいずれかの導入費用に対して支援がなされます。「コミュニティZEH」は、3戸以上の住宅(既存住宅含む)が参加するコミュニティであること、住宅の8割以上が「ZEH+」であること、コミュニティに参加する住宅(既存住宅含む)から発生する太陽光発電等の余剰電力を停電時に地域住民に提供できる設備や仕組みを整備することなどを条件としています。住宅への定額補助と合わせて、V2H設備や自営線など、共用設備に関する費用といった補助対象経費の2分の1以内(蓄電システムは定額支援)で支援がなされます。
「コミュニティZEH」は既に公募が開始され、「ZEH+R」は新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期されており、4月30日に公募が始まる予定です。

 

国土交通省
中小工務店に上限140万円

国土交通省は、地域型住宅グリーン化事業における高度省エネ型として、中小工務店などによる木造住宅のZEHを支援します。同事業は、中小住宅生産者と原木供給、建材流通などの関連事業者がグループを組み、地域材を用いて省エネルギー性能や耐久性等に優れた木造住宅等を建築するものです。補助額は掛かり増し費用の2分の1以内で、施工経験が4戸未満の工務店では上限が一戸当たり140万円、4戸以上の工務店では125万円となります。また、主要構造材の過半で地域材を使用する場合には20万円、三世代同居対応工事を実施する場合には30万円を限度として加算されます。募集については既に開始されており、応募期限は5月13日となっています。
また、サステナブル建築物等先導事業において、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅も推進します。LCCM住宅とは、資材製造、建設、修繕、更新解体までのトータルでのCO2の収支がマイナスとなる住宅のことです。支援の対象となる住宅は、ZEHの要件を満たし、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)評価でB+ランク以上を獲得するか、もしくは長期優良住宅の認定を受けたものとなります。補助額は、建設に関わる建材・設備などの掛かり増し費用の2分の1以内、かつ一戸当たり125万円が上限となります。事前枠付与方式で4月に公募が開始される予定です。

 

既存住宅改修
地域型住宅グリーン化事業
省エネ改修に50万円

国土交通省は、既存住宅の省エネ改修の支援措置を講じています。地域型住宅グリーン化事業では、木造一戸建住宅の省エネ改修に対して一戸当たり50万円を補助します。本年度は、省エネ改修後の住宅が建築物エネルギー消費性能基準に相当する性能(BEI1.1相当、ただし2016年4月1日以降に建てられた一戸建住宅はBEI1.0相当)を満たすことに加え、グループの取り組みとして、グループ内で省エネ改修の施工方法等に関する共通ルールを設定することなどが要件となっています。
個別の住宅に対する補助金は、採択されたグループに対して割り当てられた配分額を基に、グループが施工事業者に割り当てます。省エネ性能の向上に要する費用が対象となり、窓や断熱材をはじめ、給湯器やLED照明器具といった設備の交換について、これらを組み合わせて指定されたパターンのいずれかで改修工事を実施する必要があります。ただし、パターンによらず補助対象工事費を積算して申請することも可能で、その際には窓と断熱材、設備の改修工事を合計150万円以上で実施することが必要です。また、2016年4月1日以降に建てられた一戸建住宅については、パターン工事によらず、個別の積算によるものとなります。

 

長期優良住宅化リフォーム推進事業
性能向上リフォームに最大300万円

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、良質な住宅ストックの形成や子育てしやすい生活環境の整備等を図るため、既存の一戸建住宅と共同住宅の長寿命化や、省エネ化等に資する性能向上リフォームや子育て世帯向けリフォームを支援するものです。補助率は3分の1で、補助額の上限は所定の性能項目によって変わります。評価基準に適合する「評価基準型」については一戸当たり100万円、長期優良住宅(増改築)の認定を受けた「認定長期優良住宅型」については200万円です。長期優良住宅の認定を受け、かつ一次エネルギー消費量を基準比で20%削減した「高度省エネルギー型」については一戸当たり250万円で、三世代同居対応改修工事を併せて実施するか、若者・子育て世帯による工事、または既存住宅購入時に改修工事を実施した場合には50万円が加算され、補助額は最大で300万円となります。
同事業は、リフォーム工事前のインスペクションの実施と、維持保全計画およびリフォーム履歴情報の作成が要件となります。2019年度補正予算事業では、性能要件として、リフォーム工事後に①構造躯体の劣化対策と②耐震性の基準を満たし、③省エネルギー対策、④維持管理・更新の容易性のほか、共同住宅では⑤高齢者等対策、⑥可変性のいずれか一つ以上の性能を確保することが必要となります。5月10日までに補助事業者として事業者登録を行う必要があります。
2020年度当初予算事業では、2019年度補正予算事業より性能要件が変更されています。①と②に加えて③省エネルギー性能が必須となり、④~⑥については任意となりました。通年申請タイプについては、4月から事業者登録の受付が開始され、5月から交付申請の受付が開始される予定です。事前採択タイプについては4月から5月にかけて公募されます。

 

高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業
高性能な建材・設備のリフォームに120万円

環境省では、省エネ性能に優れた高性能建材によるリフォームに対する補助制度を実施しています。対象となるのは、(一社)環境共創イニシアチブに登録された高性能建材を用い、「エネルギー計算結果早見表」に定められた改修率を達成したリフォーム工事で、ガラスや窓、断熱材のほか、家庭用蓄電池システム、家庭用蓄熱設備等が補助の対象となります。
補助率は3分の1で、一戸建住宅については一戸当たり120万円(窓のみの改修は40万円)、集合住宅については15万円が上限となります。蓄電システムは、設備費について2万円/kWh、補助対象経費の3分の1、または20万円のいずれか低い額、工事費については補助対象経費の3分の1以内または5万円/台のいずれか低い額が補助されます。家庭用蓄熱設備については、補助対象経費の3分の1以内または5万円/台のいずれか低い額となります。

 

次世代省エネ建材支援事業
省施工な断熱改修に最大200万円

経済産業省による次世代省エネ建材支援事業では、短工期で施工可能な高性能断熱パネルや潜熱蓄熱建材、調湿建材等、付加価値を有する省エネ建材を用いた住宅の断熱リフォーム事業を支援します。室内側から施工する断熱パネルと、蓄熱や調湿による消費エネルギー低減に役立つ潜熱蓄熱建材のいずれかの施工が必須で、これらと同時に導入する窓や玄関ドアの断熱改修、ガラスの交換、調湿建材の設置などについても補助されます。
補助率は2分の1で、一戸建住宅については一戸当たり上限200万円、集合住宅については125万円が補助されます。