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ナイスビジネスレポート

新春2大イベント 特別パネルディスカッション
平成時代の終えん、 新たな時代の展望
東京・新春経済講演会(グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール)







「平成」 を振り返るキーワード


岡田  各社の平成を象徴するキーワードを選び、その解説をお願いします。
億田  3つの意味を込めて「謝」としました。一つ目は、昨年来、供給面でご迷惑をおかけしたことへの「陳謝」です。次が「新陳代謝」、言い換えるなら「選択と集中」です。平成の時代は、水廻り、屋根材、合板、外装材などの事業から撤退する一方、ダイライト、ダイロートン、インシュレーションボード、MDFなどの素材事業と、海外拠点の拡大に力を入れました。平成元年には11%だった素材事業の構成比が35%にまで拡大し、更に3年後には45%まで高めたいと考えています。最後に、これまでも、これからも皆様にお世話になるという「感謝」の意も込めています。
北野  「後塵」としました。平成において、日本は途上国から追い上げ、追い抜かれるという「後塵」を拝した時代だったということです。株価の時価総額で見ても、平成元年にはトップ50に日本企業が32社も入っていましたが、いまや1社のみとなってしまいました。また、アナログからデジタル、更にIT化が進みました。当社もIT分野では海外企業に遅れをとりました。企業として便利さを享受しているものの、ビジネスのあり様を変革させるまでは至らなかったという反省を込めています。
井上  「再生」を選びました。再生とは、再び生きる、再び生かす、再び生かされるということです。平成時代は、世界では米ソ冷戦の終結や東西ドイツの統一、またソ連の崩壊でスタートし、戦後体制が解体され再構築がなされました。日本では、2度の大震災をはじめ、大きな自然災害に何度も見舞われ郷土が破壊されましたが、それに立ち向かい都市や山村の再構築がなされています。ソ連もドイツも日本も、同じ国土、同じ国民で新しい姿へ向けて努力を続けてきた30年間と考え、リ・ジェネレーション(再生)としました。
角柄  「復興」です。日本は地震災害が多く、平成はその災害が頻発しましたが、その復興のために日本中が力強く団結した時代でもあります。戦後最大の災害となった東日本大震災では、日本の合板供給力の約3割が被害を受けましたが、関係する皆様の努力により早期に復旧しました。我々は災害発生のたびに新たな課題・テーマを突きつけられ、それを乗り越えてきました。これを次世代につないでいく必要があります。それぞれの災害からの復興はまだ途上ですが、一日も早い真の復興を祈念しております。
須藤  「次世代への布石」としました。平成は、政治的にも経済的にも、ある意味で昭和の清算がなされた時代でした。その中で、様々な次世代への備えや布石が出てきました。2度の震災をはじめ多くの自然災害を経験し、国家として、企業として、あるいは個人・家庭として、自然災害に対し、どう備え、対処するべきかを考えさせられました。住宅業界にも様々な問題が突きつけられ、耐震性や耐水性、快適性をいかに向上させるかが模索され、将来に対する様々な布石がなされた時代でした。
山中  「エクセラード」です。平成2年に発売した商品で、外装材の売上高の約6割を占め、当社の平成を代表する商品です。平成元年の外壁は、モルタルが47.5%、窯業系が32%でしたが、現在は窯業系が77〜78%となり、外壁業界は大きく変貌しました。時代の流れを踏まえ、ニーズに合った商品を出せばビジネスチャンスはあります。言い換えれば、日本の社会構造が変革していく中で、使い勝手のいい、新しい素材が出てくれば、当社がモルタルの位置になりかねないという自戒の念を込めています。
喜多村  平成では、働き方やコミュニケーションが変革を遂げたことから「変革」と最初は思いましたが、あえて「平成」としました。平成は低成長の暗い時代と言われますが、被災地に多くの方が手を差し伸べるなど、日本の良さが感じられる時代でした。所得は右肩上がりとはいきませんでしたが、華々しさは欠けるものの、快適な暮らしをおくれるようになりました。質素でも、日本人の心を忘れずにいれば、新たな日本像を築けると考え、平成は平らでしたが、平和でもあったということで「平成」としました。
大西  「加速」です。平成を表す現象としては、グローバル化やITイノベーションがあります。ヒト・モノ・カネが国境を越えて広がり仕事が様変わりし、暮らしが大きく変化しました。特長的なことは、変化のスピードが加速度的に増したことです。変化を大きくするためには時代の波に乗れるだけでなく加速が大切です。変化のスピードを速めた企業が、現在株式時価総額の上位を占めています。「加速」を意識して次の新たな時代に取り組みたいと考えています。

次の新たな時代へ


岡田  消費増税の影響や「2020年の崖」など、今後の日本経済の展望はいかがですか。
大西  反動減については、国策として支援策が出ている状況です。これを活用して需要を掴み取れるかは、いかにリフォームを増やすかにかかっています。一時的なピークではなく、その向こうにある中長期的な需要を掘り起こすためには、エンドユーザーに向かってどうマーケティングし、プロモーションしていくのかに尽きます。エンドユーザーにしっかりと焦点を当てて、需要を喚起するような施策を、メーカー、流通、建築に携わる元請けをはじめ、業界全体で打っていきたいと考えています。
岡田  リフォームは足元の数字が決してよくはありません。そこはいかがですか。
喜多村  あまり心配していません。近年は平均で2%ほど伸びていましたが、ここ数年は足踏みしています。しかし、リフォームされたお客様は大変満足されていますし、リフォームで豊かな生活を求めているのは、世界中の方が抱いている思いです。当社は、その思いを後押しする商品をご用意し、周知していくことに尽きます。経済的には多くのリスクがあり、消費増税よりも米中問題のほうが深刻です。しかし、こうした苦境にあっても、住宅産業は過去何度も、根強い力を発揮してきました。リフォームしてよかったとご満足いただくことが、より多くの幸せにつながると信じています。
岡田  世界情勢についてはいかがですか。
山中  日本は世界情勢の影響を受けやすい市場です。リーマンショックの際、日本には影響がないとも言われましたが、結果はご承知の通りです。リセッションは、金融引き締め期に起きます。世界的に見ると、アメリカはすでに引き締めに入り、これが株価の大変動を呼び込んでいる一因です。一方、中国は債務超過の中で米中冷戦に突入しています。そして、ヨーロッパにはブレグジットというリスクがあります。一大金融市場であるロンドンが、万が一合意なく大陸国家と切り離されれば、その影響は計り知れません。やはり海外情勢は常に念頭に置く必要があります。
岡田  東京五輪 ※ 開催の影響はいかがですか。
須藤  石膏ボード業界には昨年から影響が出はじめていますが、昨年10〜12月期の関東地区の数値は前年比101%と、限られた需要です。今年の非住宅需要は、インバウンドによるホテルや、物流関連施設の建設が進むものの、昨年と同程度と見ています。経済情勢は不透明であり、難しい舵取りを迫られています。現在は、己の信念を貫いてきた会社が生き残っていると感じており、自社の役割を自覚して、足元を見つめながら、一歩一歩進めていくべきと考えています。
角柄  海外情勢は昨年同様「剛よく柔を制す」が継続し、強国の自国ファーストに翻弄されそうです。東京五輪後の日本経済についてはあまり悲観していません。前回時とは日本経済の体力が違います。前回時は、建築需要5兆円の内の1兆円が五輪関連でしたが、今回は50兆円の内の1兆円であり、インパクトが違います。2012年ロンドン大会では、開催前後の経済効果の6割が開催後であり、開催後も経済効果が持続しました。日本は社会インフラの多くが刷新の時期を迎えており、その刷新需要は大きく、五輪効果が地方都市に波及し、全体の建築需要を押し上げることを期待しています。
井上  消費税については、約5.6兆円の増税になるところ1兆円規模の軽減税率等の対策が検討されています。しかし、4.6兆円は国民に課されます。また、太陽光発電やバイオマス発電等のFIT制度による電気代の国民負担は約3兆円に達しています。合計8兆円程度の国民の可処分所得が毎年吸い上げられていくので、日本経済の行く末に大変な不安を感じます。東京五輪と大阪万博については、2つの国際的イベントが都市開発を加速する契機になると期待しています。素材メーカーとして、お客様に選んでいただける製品づくりに精励し、その需要を取り込んでいきたいと考えています。
北野  日本の住宅市場の先行きは決して明るいとは言えません。将来的に60万戸台まで減少し、職人不足が深刻化しています。リフォームは、個人の懐具合に影響されることが気がかりです。今後は、一つの家族が終(つい)の住処(すみか)として住み続けるという考え方から、シェアリングなど、住まいの活用法が柔軟に変化していくと見ています。価値観の多様化に伴い、弾力的に新たなビジネスモデルを提供できるかが、最大のポイントになります。一方、非住宅は、首都圏はもちろん、地方圏でもサテライト的な開発が進んでいくと見ており、底堅さがあります。その意味では、労働力不足への対処が課題と見ています。
億田  消費増税に対する支援策が充実しているため駆け込み需要は少なく、むしろ増税後が楽しみと見ている人もいます。それよりも人口減少、少子化、高齢化という日本の構造的な問題と、それによる労働力不足が大きな課題です。業界に働き手が入ってこないかも知れません。かつて、「きつい」「汚い」「危険」な職場は3Kと言われていましたが、現在は「休日が少ない」「給料が低い」「かっこ悪い」を加えて6Kと言うそうです。平成の時代に仕事に対する考え方は大きく変わりました。業界全体で「働き方改革」、「働きがい改革」を推進することが重要と考えています。

※東京オリンピック・パラリンピック競技大会

各社の事業方針


岡田  今後の事業展開や方針、注目すべき商品になどについてアピールをお願いします。
角柄  国内の新設住宅着工戸数に左右されないポートフォリオ構築のため、次の3点の重点施策を掲げています。一つ目の海外展開は、昨年インドネシアに設立した合弁会社により、今年4月より建材の同国内販売と輸出入業務を開始する予定です。二つ目の非住宅は、当社はサミットHR工法を持ち、その実績は近々1,000棟に届きます。今後は民間物件にも積極的に取り組んでいきます。三つ目の機能強化は、昨年創設したコーポレートブランドの「こことわ」です。これは『取引先様に「心地よさ」や「快適な暮らし」を「ずっと」お届けする』という意気込みを持ちます。当社の独自性、占有率の高い商品・サービスを展開していきます。
井上  コーポレートミッションとして、地球環境の保護と住環境の充実を掲げています。地球環境の保護の観点では、気体の二酸化炭素を少なくすることが必要です。石炭はもちろん、木材など炭素を固体化しているものを単純に燃料とすることには反対しています。木を住宅や家具にして、長期に炭素固定化を何十年と続け、それらの使用が終った後に初めて燃料として電気や熱量になってもらうカスケード利用が重要です。住環境の充実の観点では、国民の生命と健康を守れるより厚い合板を開発するなど、耐震性を確保する素材として選ばれるように努めます。国産材を活用することで自然の森林を再生し、都市にもう一つの森林をつくっていくことに挑戦してまいります。
億田  建材事業は、グループ内にリフォーム、リノベーションの工事会社を持つ強みを生かした省施工製品の開発や、昨年発売した不燃壁材「グラビオエッジ」のような高付加価値製品を積極的に提案していきます。特に、高い不燃性や意匠性が求められる公共・商業建築分野に対しては、これまで以上に力を入れていきます。素材事業は、海外を含めた生産拠点の拡大も視野に入れながら、新しい用途、新しい素材の開発に取り組んでいきます。
岡田  チャイナリスクについてはいかかがですか。
喜多村  中国は、貿易摩擦の影響が出ており、購買力の低下につながっています。政府もインフラ投資には力を入れていますが、住宅についてはバブルとされるほど上昇しており、価格制限がされています。これまでの資金の貸し手側への規制が売り手側への規制に変化したことで、建てる方のマインド、買う方のマインドが落ちています。中国の持家率は95%と高水準ですが、より高性能な住宅に住み変えたいというトレンドはあると見ています。国内については、「リモデルあんしん宣言」を昨年行いました。増改築やリフォームへの提案を強化していくほか、ホテルなどの非住宅分野にも注力していきます。
山中  当社は、メンテナンスコストを軽減する高耐久の商品の開発を志向しています。窯業系サイディング業界初となる塗膜30年保証をつけたオフセットサイディング「プレミアムシリーズ」と、外壁間のシーリングがない「Fu−ge(フュージェ)」シリーズを組み合わせると30年間ほぼメンテナンスフリーとなります。住宅、非住宅双方に向けてこれらの商品の提案を強化していきます。また、アメリカで第2工場を立ち上げ、更なる供給力の拡大と高付加価値商品の生産販売体制の強化を図っていきます。
岡田  社名がライフソリューションズ社に変わりますが、事業領域が広がるということですか。
北野  現在でも住宅のみならず、車などモビリティ分野にも商品を供給しており、社名変更は業容の拡大ではなく、人が暮らす空間、暮らしそのものをよりよくしたいという思いを込め、次の100年に向けたものです。その象徴が、IoTを活用したスマートHEMS「AiSEG2」と、これを更に進化させた「HomeX」です。当社は、人が暮らすあらゆるシーンに、タッチポイントがあり、それをつなぐことで住まいの変革に貢献していきます。新築やリフォームがゴールではなく、その後もお客様とつながりつづけ、お役に立てる会社でありたいと考えています。
須藤  当社は、安全で快適な住空間を創るという理念のもと、引き続き石膏建材に注力していきます。石膏建材は、不燃・準不燃建材であり、人間の生命、財産を守るものです。この普及を、グループ企業とのシナジー効果を発揮しながら推進していきます。次世代への布石として、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドを吸収分解する「タイガーハイクリンボード」や、壁倍率の強化など改良を図っている外壁下地耐力面材「タイガーEXボード」など、より信頼できる商品を供給していきます。海外については、インドネシア工場を昨年の秋に稼動させたほか、ベトナムにも新工場の建設を開始し、来年には稼動します。生産体制を強化していく考えです。
大西  昨年11月に経営陣の交代がありましたが、現場の方針、お客様との関係性については何ら変更ありません。国内については、リフォームが重要と考えており、付加価値が高い中高級商品などを充実させていきます。また、人生100年時代を迎え健康に長くお住まいいただきたいとの観点から、メンテナンスの切り口で需要を喚起していくことが大切と考えています。そのほか、「みんなにトイレをプロジェクト」という、発展途上の国々で子供の将来を見すえて、排泄であるトイレをサポートする活動をしています。これらを通じて、社会に貢献していきます。
岡田  本日はありがとうございました。