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ナイスビジネスレポート

国土交通省
業界団体と住宅・建築物の省エネ対策を審議
小規模新築住宅の2020年の義務化に慎重論

消費増税に合わせた義務化に異論

 国土交通省は10月29日、社会資本整備審議会・建築分科会建築環境部会を開催しました。同部会では、首都大学東京の深尾精一名誉教授を部会長として、パリ協定を踏まえた2030年度における住宅・建築物分野の温室効果ガス削減目標の達成等に向け、「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方」について審議がなされています。
 当日は、新築住宅・建築物の省エネルギー基準適合の確保、高い省エネルギー性能を有する新築住宅・建築物の供給促進、既存ストックの省エネルギー性能向上をテーマとして、住宅生産団体連合会をはじめ、建築関係を中心とする民間7団体が参加し、議論が交わされました。これらの関連団体からは、政府が提示している新築の住宅・建築物への2020年までの段階的な省エネ基準への適合義務化について、慎重な対応を求める要望が上がりました。
 具体的には、300u未満の小規模住宅について、建材や設備の高性能化が進み、将来的に省エネ基準への適合率は上がっていくことは予想されるものの、現状の適合率は約6割にとどまっており、戸数が極めて多い全ての新築住宅に対し、現行の省エネ計算や手続きを義務化することは、供給側・制度執行側の双方の負担が過大で、市場に大きな混乱を招くとしています。その上で、全ての住宅に対し、2020年での適合義務化は影響が甚大で、現実的でないといった意見が出されています。
 また、省エネ基準に適合させるために必要な追加コストは、120uの一戸建住宅では約87万円で、光熱費の低減額を踏まえた回収期間は35年におよび、規模が小さく価格が低いほど負担が増加するとしています。消費増税が実施される時期に合わせて、コストアップにつながる規制強化を議論することは、増税後の住宅需要の落ち込みを助長する恐れがあるとしています。その上で、住宅取得マインドを冷え込ませないために、一定の省エネ性能を確保した住宅への支援措置の実施も並行して検討するべきといった指摘がなされました。

中小工務店への環境づくりが重要

 今年7月に閣議決定された第5次エネルギー基本計画では、2020年までに新築住宅・建築物について段階的な省エネ基準への適合義務化を求めています。同基準への適合が義務づけられれば、建築主は着工に当たり、所管行政庁や登録省エネ判定機関に省エネ性能確保計画を提出し、適合性判定を取得しなければなりません。
 昨年4月に施行された建築物省エネ法では、延べ床面積2,000u以上の大規模非住宅建築物のみに対し、省エネ基準への適合が義務化されています。2,000u以上の大規模住宅や、延べ床面積300u以上〜2,000u未満の中規模住宅・建築物は省エネ性能を示す届出義務、300u未満の小規模住宅・建築物は努力義務にとどまっています。
 2016年度の小規模住宅における省エネ基準の適合率は約60%となっています。そのうち、トップランナー制度の勧告対象となる年間150戸以上の分譲一戸建住宅を供給する事業者の適合率が88%であるのに対し、年間着工戸数が4戸以下の事業者では44%にとどまっています。この要因として同部会では、中小工務店は横のつながりが希薄で、省エネに関する情報・理解度ともに不足しがちであることや、省エネ化によるメリットが顧客に説明しづらく、基準適合にかかるコストアップ費用を含めて建築主から価格の据え置きを求められることがあるため、積極的に勧めていないといったことが背景にあるとしています。また、建築主についても、省エネ基準への適合による光熱費削減効果などのメリットの説明が不足しているために、外観デザインなど目に見えやすい要素に関心が向き、住戸全体としての省エネ性への関心が薄いとしています。これらの改善のためには、省エネ計算の合理化や簡素化に向けた見直しや、一般への周知が必要となってくるとしています。
 国土交通省は今後、同部会の議論を踏まえ、年度内を目途に取りまとめを行う予定です。

 国土交通省社会資本整備審議会建築分科会建築環境部会
 http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s203_kenntikukannkyou.html