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ナイスビジネスレポート

林野庁
2019年度予算概算要求
林業成長産業化に向けた民間の連携を促進

森林集積推進室を新設

 農林水産省はこのほど、2019年度の予算概算要求を公表しました。来年度の要求額は2兆7,269億円(2018年度当初予算比18%増)となりました。このうち、林野庁関係の要求額は3,452億円(同15.2%増)で、林野行政の主力となる一般公共事業の要求額は、2,197億円(同22.0%増)が計上されています。重点事項には2018年度に引き続き「林業成長産業化総合対策」が据えられ、186億円(同20.1%増)を計上しています。このほか、「緑の人づくり」総合支援対策に53億円(同8.2%増)、森林・山村多面的機能発揮対策と花粉発生源対策推進事業については、2018年度と同額の15億円と1億円がそれぞれ計上されています。2019年度の予算は、森林環境税および森林環境譲与税の創設と併せ、「新たな森林管理システム」をバックアップする内容となっており、同システムを推進する役割を担わせるため「森林集積推進室(仮称)」を新設することが掲げられています。

林業の成長産業化に重点

 重点施策となる「林業成長産業化総合対策」では、森林が本格的な主伐期を迎えるという状況の変化に積極的に対応し、新たな森林管理システムと森林環境税の創設による林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を実現し、木材の輸出を含めて需要を拡大することで、時代の転換期に相応しい森林・林業施策の充実を図るとしています(図1)。木材需要の拡大等に向けた総合的な支援策により、国産材の供給・利用量について、2016年の2,700万m3から2025年には4,000万m3にまで増加させることが政策目標として掲げられています。具体的には、「林業・木材産業成長産業化促進対策」「スマート林業の促進」「木材需要の拡大・生産流通構造改革促進対策」の3つが示されています。
 「林業・木材産業成長産業化促進対策」については、147億円(同19.9%増)が要求されました。意欲と能力のある林業経営者を育成し、木材生産を通じた持続的な林業経営の確立のため、出荷ロットの大規模化や、路網の整備、高性能機械等の導入のほか、森林境界線の明確化などの支援がなされます。更に、木材産業の競争力を強化するため、安定的・効率的な供給体制を構築する木材加工流通施設等の整備や木材利用のモデル性が高い木造公共建築物の支援などを総合的に実施するとしています。
 2.4億円(同4.3%増)が要求された「スマート林業の促進」については、森林施業の効率化・省力化や、需要に応じた高度な木材生産を可能にするスマート林業に向けて、ロボットやAI(人工知能)・ICT(情報通信技術)等の先端技術を活用した森林施業の効率化や、需給マッチングによる流通コストの削減といった取り組みや、施業現場の管理者育成等の支援がなされます。また、航空レーザー計測等のリモートセンシング技術を活用した高精度な森林情報の把握や、クラウド技術等により川上から川下までの関係者間で情報を共有し、活用する取り組みを進めるとしています。



新たなサプライチェーンを構築

 「木材需要の拡大・生産流通構造改革促進対策」については、14.7億円(同35.1%増)が要求されました。「伐って、使って、植える」というサイクルを回すためには木材の需要拡大が重要であることから、低層建築物を中心としたJAS構造材の利用拡大や横架材等の製品・技術開発をはじめ、中高層建築物を中心としたCLTや木質耐火部材等の新たな木質建築部材の利用促進と定着に向けたデータ収集や技術開発などが支援されます。そのほか、A材丸太を原材料とする構造材や内装材、家具、建具といった、「顔」の見える木材での快適空間づくりなどを進めるとしています。
 また、新たに生産流通構造改革促進事業として、川上から川下までを結ぶサプライチェーンの構築に向けたマッチング等の取り組みへの支援が盛り込まれました(図2)。これは、今年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」において、川上から川下までの各段階の事業者が連携した「新たなサプライチェーンの構築」が示されたことに基づくものです。サプライチェーン構築のため、流通の各段階における事業者の「お見合いの場」として各都道府県にSCM(サプライチェーンマネジメント)推進フォーラム(協議会)を設置・運営し、山側と工場、住宅会社などのマッチングや、需給などの情報を共有するデータベースの整備等を行うとしています。