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ナイスビジネスレポート

国土交通省
民間企業の技術をまちづくりに応用
スマートシティ実現へのとりまとめを公表

スマートシティの全体像を提示

 国土交通省は8月21日、今年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」に基づくスマートシティの実現に向けた、中間とりまとめを公表しました。同戦略では、経済発展と社会的課題の解決を両立していく新たな社会「Society5.0」が、目指すべき未来社会の姿として提唱され、今後、イノベーションの進展による経済、社会構造の大きな変革が進んでいくとしています。その上で、こうした社会がまちづくり分野においても大きなインパクトをもたらす可能性があり、ビッグデータやIoT(物のインターネット)、AI(人工知能)による予測精度の向上が、都市の構造や人の価値観に大きな変化をもたらすだけでなく、より高度で持続可能な都市の実現に向けた課題解決へのヒントを与えてくれるとしています。
 今回のとりまとめでは、「Society5.0」によるスマートシティを、「都市の抱える諸課題に対して、ICT(情報通信技術)等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」と定義し、スマートシティの全体像を「生活者の視点」と「都市の管理者・運営者の視点」から描くことで、目指すべき将来像や今後の取り組みの方向性が示されています(図1)。




SDG s を軸として課題を整理

 本とりまとめでは、これまで都市行政が扱ってきた分野にとらわれることなく、都市が解決すべき課題について、SDGs※を軸とした横断的な整理がなされています。その上で、今後、まちづくり分野において役立てられる新技術として、通信ネットワーク技術やセンシング技術、分析・予測技術などを挙げています。「5G」をはじめとした通信ネットワーク技術や、小型化・高機能化されたセンサーなどにより様々な情報を計測、数値化するセンシング技術を取り入れることで、これまで通信機能がなかった機器や日用品などとの交信が可能となり、老朽化したインフラへの効果的な対応に役立てられるとしています。また、集まったビッグデータをAIが分析することで、ヒト・モノの動きなどの解析・予測が可能となり、現在の都市の課題の一部を一気に解決できる可能性があるとしています。
 こうした新技術の活用により実現したスマートシティは、生活者が物理的な距離や時間的な制約から解き放たれ、生活の質を高める活動や、自己実現欲求を満たす活動、付加価値の高い活動に対し、より多くの時間を注入できるとしています。また、生活者がそうした活動を充実させるためには、様々なヒト・モノ・コトが集まり、そこにいることで、生活者が様々な経験をできる都市環境が前提であり、都市に様々な機能をコンパクトにまとめることが重要としています。
 同省は、都市に住むヒトの生活の質の向上がスマートシティ実現の目的であり、持続可能な取り組みとするために、「都市のどの課題を解決するのか?」「何のために技術を使うのか?」といった課題解決志向の取り組みへの転換が必要としています。そのためには、一つの分野、一つの主体にとっての個別的な最適解にとどまらず、都市全体からの全体最適を提供するために、主体間の連携・協働を前提とした、データや技術の連携が重要となるとしています。

  ※ Sustainable Development Goalsの略称で世界が2016年から2030年までに達成すべき17の環境や開発に関する目標

官民の連携により推進

 課題解決の具体的なイメージとして、本とりまとめでは、「オールドニュータウン(老朽化した大規模住宅団地)」「大規模ターミナルのユニバーサルデザイン」「都市機能集積地の安全・安心の確保」「観光拠点の魅力向上」「地方都市における移動の足の確保」「都市施設の管理の高度化・効率化」の6項目に対する課題解決プロセス例が示されています。
 そのうち、「地方都市における移動の足の確保」については、地方都市における公共交通サービスの低下や、運転免許証を返納する高齢者の増加などを要因とした、日常生活に不可欠な移動が困難になる「移動難民」の発生に対するソリューションが示されています。
 ここでは、いつ買い物や病院へ行き、何を買うのかといった利用ニーズを、交通系のICカードデータや民間サービスアプリ、AI技術などを活用することで把握します。それに応じた効率的で柔軟なサービスの提供とともに、宅配サービスやインフラの点検といった複数のサービスを同時に行うことで、財政制約の厳しい地方都市における、効率的な行政サービスの実現方法などが示されています。
 また、これまでのスマートシティへの取り組みは、新技術を開発・活用する民間企業主導によることが多く、そうした技術を社会に実装させていくためには様々なハードルが存在するとしています。そこで、同省はスマートシティの推進への支援策として、「体制の構築に対する支援」「計画の策定に対する支援」「事業の推進に対する支援」「モデル事業の実施による支援」「スマートシティの海外展開の支援」の5つを挙げ、官民連携した取り組みを進めるとしています。スマートシティの推進に向けた施策とそれらをパッケージで支援するモデル事業の想定スキームが提示され、先導的に国営公園での実施や、関係省庁と連携したモデル都市の選定などを進めていくとしています。

 国土交通省
 スマートシティの実現に向けた中間取りまとめ
 http://www.mlit.go.jp/report/press/toshi07_hh_000126.html