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ナイスビジネスレポート

国土交通省
復旧時、通常時の指針を策定
全国宅地耐震化推進のガイドラインを公表

熊本地震の教訓を生かす

 国土交通省は7月23日、災害からの復旧時と通常時に取り組むべき全国宅地耐震化の推進ガイドラインを公表しました。これは、熊本地震において、大規模な盛土造成地における地すべりや、宅地擁壁の崩壊、陥没、液状化被害など、約15,000件の宅地被害が発生したことを受け、実際に宅地復旧を進めるなかで得られた教訓をもとにした、今後、地方公共団体が実施すべき、大地震や豪雨災害などに起因する宅地被災発生時の復旧における留意事項や、通常時に取り組むべき事前対策などにおけるガイドラインとなっています。
 熊本地震においては、宅地被害が甚大かつ、小規模な宅地擁壁の被害が多かったことから、宅地耐震化推進事業をはじめとした国の公共事業について、制度の拡充や要件の緩和がなされています。更に、こうした公共事業の対象とならない高さ2メートル未満の民間の宅地擁壁や、液状化による家屋の傾斜、宅地の陥没などへの対応については、県に設置された「平成28年熊本地震復興基金」が活用され、その件数は全体の約3分の2となる約10,000件に上るとしています。

小規模宅地へは地方自治体が支援

 こうした状況を踏まえ、本ガイドラインでは国と地方公共団体が緊密に連携しながら宅地の復旧へ対応することが重要としています。その上で、熊本地震と同様な被災が発生した場合の宅地復旧に際して、地方公共団体が留意すべき事項を整理しています(図1)。それは以下の4点で、被災宅地の全体像を把握し、活用する事業や独自支援の検討を行うこと(トータル的視点を持った対応)、宅地耐震化推進事業の趣旨等への理解を深めること(事業への精通)、独自支援を検討する場合の様々な留意点(独自支援の内容の検討)、相談窓口等の整備(的確な相談が可能な体制づくり等)としています。
 独自支援の内容の検討については、宅地は本来個人資産であり自己負担による復旧が基本であるとした上で、被害全体のうち国の事業で対応できる割合、宅地復旧が被災者の生活再建ニーズのどの程度を占めるのか、地方公共団体が独自に支援することが可能なのか、といった状況を踏まえた検討が必要としています。




大規模盛土造成地マップの公表を推進

 事前対策の推進については、通常時の宅地耐震化に当たって地方公共団体が留意すべき点として、大規模盛土造成地マップ等の作成と公表、宅地擁壁の点検や調査の促進と宅地所有者への啓発の2点を掲げています。大規模盛土造成地マップとは、盛土面積が3,000u以上の谷埋め型と、盛土前の地盤面の角度が20度以上かつ盛土の高さが5メートル以上となる腹付け型の大規模盛土造成地の位置を示したものです。宅地がどのように造成されているかを住民が知り、宅地の状態に関心を持つことで、普段からの点検・管理を促し、防災意識を高めることに役立つとしています。更に、行政としては同マップの作成により、被災発生時に被災宅地危険度判定をすべきと考えられる箇所の、迅速な抽出が可能になるとしています。
 国土交通省は、地域住民の理解を深め、宅地の耐震化を進められるよう、2006年より地方公共団体へ大規模盛土造成地マップを作成し、公表することを求めています。5月1日時点での公表率は、全国の市町村で60.9%と、初めて60%を超えましたが、いまだ、680の市町村において同マップが公表されていない状況です。東京都など13都府県が公表率100%となった一方で、8県で0%となり、二極化が進んでいるとしています。

 熊本地震の教訓を踏まえた全国宅地耐震化の推進ガイドライン
 http://www.mlit.go.jp/report/press/toshi06_hh_000026.html