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ナイスビジネスレポート

政府・林野庁
「平成29年度 森林・林業白書」を閣議決定
更なる川上と川下の連携を構築

森林・林業の動向を解説

 政府は6月1日、2017年度の「森林・林業白書」を閣議決定しました。「森林・林業白書」は、森林・林業基本法に基づき、林野庁が毎年1回公表するもので、2017年度の日本における森林及び林業を取り巻く動向の解説をする第1部と、2018年度に講ずる施策について報告する第2部の二部構成となっています。
 白書では、国産材の供給体制については、木材自給率が2016年には約35%にまで上昇したものの、森林所有者の多くは小規模零細で経営規模を拡大する意欲が低いため積極的な運営が期待できず、主伐期にある人工林は4割しか活用されていない状況にあるとしています。そのため、意欲のある林業経営者に林業経営を集積・集約化し、間伐だけでなく主伐や主伐後の再造林についても合理的に進める仕組みを整える必要があるとしています。更に、ICT技術の活用により、川上の林業経営者から、川下の木材需要者までの連携を進めることや、非住宅建築物や中高層建築物といった新規需要の拡大が重要であるとしています。

市町村による森林管理を推進

 今回の特集テーマとなった第T章「新たな森林管理システムの構築」では、森林管理に関する課題について、欧州の林業国であるオーストリアとの比較をした上で、これまでの取り組みの成果と現状の課題が整理されています。
 オーストリアは、日本と類似した険しい山岳地域を有し、小規模な森林所有者等が多いという条件でありながら、蓄積増加量に対する木材生産量の割合が日本と比較して高くなっています。これは、公的機関により、林業の集約化や丸太の共同販売化、製材工場の大規模化などが進められたことによるとしています。
 日本における人工林資源の充実はオーストリアと同水準に達しており、その点で欧州の林業国と競い合うスタートラインに立っているとしています。しかし、日本では、森林所有者の多くが主伐の予定がないか、行った場合でも小規模であるなど、安定的に供給できるような状況にないとしています。
 こうした課題の解決のために、森林所有者の経営意思のみに任せるのではなく、市町村などの公的な主体が関わって、経営管理の集積・集約化を実現する新たな仕組みを構築する必要があります。
 「森林環境税(仮称)」の導入などによって、2019年度よりスタートを目指す新たな森林管理システムは、森林管理の責務を明確化し、所有者が管理できない場合は市町村が管理の委託を受け、意欲と能力のある林業経営者に再委託できるようにするものです。これにより、森林の整備や人材の育成、木材利用の促進を進めるとしています。


川上と川下の連携を構築

 新たな森林管理システムの構築に当たっては、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を進めるとしています。具体的には、川上側で森林経営の集積・集約化を図るだけでなく、木材の需要者側である川下側と連携し、ICTを活用したサプライチェーンの再構築や、製材工場などの新たな担い手の林業への参入、非住宅分野への木材需要拡大に必要な品質・性能が確かな構造材の供給の拡大といった、生産流通構造改革を推進することで、人工林の適切な管理と資源の循環的な利用を進めていくとしています。

 「平成29年度 森林・林業白書」
 http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/index.html