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ナイスビジネスレポート

国土交通省
住宅・エネルギー消費性能の実態等に関する研究会
省エネ基準適合義務化へ提言

適合率向上への課題を整理

 国土交通省の「住宅・エネルギー消費性能の実態等に関する研究会」は3月30日、6回の議論を踏まえた取りまとめを公表しました。同研究会は、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)の施行状況や、住宅・建築物の省エネ性能に関する実態の把握、省エネ基準への適合率の向上に係る課題の整理などを目的としています。この取りまとめでは、大規模建築物に省エネ基準適合を義務付ける省エネ基準への適合性に係る判定制度が円滑に実施されている現状を踏まえた上で、省エネ性能の低い既存ストックの省エネ性の向上といった委員からの指摘事項を中心に、今後の課題などがまとめられています(図1)。
 本取りまとめによれば、2015年度における300u未満の小規模住宅の省エネ基準適合率は51%となっています。150戸以上を供給する事業者の建売の一戸建住宅は、省エネ基準への適合率が88%、より高い省エネ性能が求められる誘導基準への適合率が86%となっています。一方で、年間着工戸数が4戸未満の中小住宅事業者が供給する一戸建住宅については、省エネ基準への適合率は39%、誘導基準への適合率は27%となっており、一戸建住宅全体と比べて相対的に低くなっています。省エネ基準に適合する住宅の大半が、より高い省エネ性能が求められる誘導基準にも適合するなど、供給する住宅に二極化が見られるとしています。

中小事業者の習熟度の向上が重要

 住宅の省エネ基準の適合率が低い要因としては、設計・施工に携わる事業者の間で省エネに関する技術について十分に習熟している者が多くはないこと、建築主などに省エネ性能向上の必要性の理解が十分に浸透していないこと、省エネ関連の投資の費用対効果が低く、建築主などが感じるメリットが比較的小さいといったことが挙げられています。また、委員からは、日本では在室時にその部屋だけを暖める暖房が主流で、全館暖房が主流の欧米と比べると、世帯当たりの年間のエネルギー消費量は半分から3分の2程度で、この点が省エネ投資の費用対効果の低さにつながっているとの意見も出ています。
 同研究会はこの結果を受け、中小の工務店や設計事務所に省エネ基準や省エネ計算等に習熟していない者が相当程度いる状況で、2020年に省エネ基準への適合を義務化することは、事業者の業務に大きな支障が発生する恐れがあるととしています。また、審査件数が大幅に増加することで審査側の体制が不足する可能性についても指摘がなされています。そのほか、伝統的な工法など地域に根ざしたデザインの多様性への配慮といった課題があるとしています。

既存ストックへの性能向上も

 こうした状況を踏まえ、今後、義務化に向けて必要となる取り組みや施策としては、省エネ基準への適合の判断を容易にするための省エネ基準や省エネ計算の大幅な簡素化をはじめ、CADなどと連動する新たなプログラムの開発の促進、設計者・施工者双方への普及啓発、施主や居住者に向けた表示制度の集約などが示されました。また、住宅・建築物全体で省エネ性能の向上を図るとともに、ZEHをはじめとしたより高性能な住宅の更なる推進や、省エネ性能が低い既存ストックの性能向上も課題の一つとしています。
 国土交通省は今後、同研究会の取りまとめを踏まえ、2020年の省エネ基準適合義務化に向けた具体的な検討を進めるとしています。

 国土交通省 住宅・エネルギー消費性能の実態等に関する研究会
 http://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_000785.html
国土交通省
長期優良住宅化リフォーム推進事業の募集開始

 国土交通省は4月10日、2018年度「長期優良住宅化リフォーム推進事業」について、補助対象事業の募集を開始しました。本事業は、既存住宅の性能向上や三世代同居等の複数世帯の同居への対応に資する優良なリフォームを支援するものです。主な事業要件は、リフォーム工事前のインスペクションの実施や、一定の住宅性能を有するリフォームの実施、工事の履歴と維持保全計画の作成の3点です。補助対象は、リフォーム費用及びインスペクションなどに要する費用で、100万円を上限として費用の3分の1が補助され、省エネ性能など住宅性能を向上させる場合には、最大で300万円が補助されます。
 応募方法は、通年申請タイプ、事前採択タイプ(安心R住宅)、事前採択タイプ(提案型)の3タイプがあります。通年申請タイプについては、本事業の要件に適合し、施工業者または買取再販業者が11月30日までに事業者登録を行うことで、交付申請が可能です。事前採択タイプ(安心R住宅)については、本事業の要件に適合し、かつ「安心R住宅」の標章を付与して流通させる場合に提案・採択を受けることで、一定の予算枠を確保することができます。提案が可能な団体は、「安心R住宅」の標章の付与が可能な、国土交通省に登録された「特定既存住宅情報提供事業者団体」で、提案の受付期間は9月28日までとなっています。事前採択タイプ(提案型)については、本事業の要件には適合しないものの、代替措置により同等の性能を有すると認められる場合などに、施工業者または買取再販業者からの提案を5月18日まで受け付けます。
 なお、4月16日より、全国9都市にて本事業における事業者向け説明会が開催される予定です。