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ナイスグループ
大径材の活用による内装の木質化を提案

 日本の人工林は現在、約35%が11齢級以上となり、本格的な伐採期を迎えています。一方で、大径木化が進んでおり、その利活用が林業の活性化への課題の一つとなっています。今回は、大径材の活用により進む非住宅の木質内装化の取り組みをご紹介します。

進む人工林の高齢級化

 日本の森林面積は約2,500万haと、国土の約3分の2を森林が占める森林大国で、そのうち、人工林の面積が約1,000万haとなっています。この人工林のほとんどは、戦後に植林が進められたスギをはじめとした針葉樹で、そのうち約35%は、主伐期となる11齢級(51〜55年生)を迎えています。このまま推移した場合、2020年度末には人工林の約半数が11齢級以上に達するとされ、いわゆる「高齢化」の状況となっています(図1)。
 国産材の供給量は、2002年の1,692万m3を底に増加に転じ、2016年には2,714m3と1,000万m3以上増加、木材自給率は34.8%にまで上昇しています。一方で、年間で約4,800万m3が成長する人工林の資源のうち、約6割強が利用されていない状況にあります(図2)。更に、工法の変化などにより、住宅用の建築用材には集成材などが用いられるようになり、大きくて使いづらい高齢級の「大径材」の需要は減少しています。国は2025年度までに国産材の自給率を50%にまで引き上げる目標を掲げています。この目標の達成には、今後、大径材の利活用が求められています。
 日本は現在、人口減少社会にあり、ピーク時には191万戸あった新設住宅着工戸数が、2017年には96万戸となり、今後も緩やかに減少していくとされています。そのため、木材の利活用促進には、住宅以外の需要創出が課題となっています。こうした状況を受け、2010年に「公共建築物等木材利用促進法」を施行し、これにより公共・民間建築物を問わず非住宅分野での木造化・木質化が推進されています。木造化については、無垢のJAS製材品や構造用集成材、CLT(直交集成板)などを使用した建築事例などが出てきています。今後はこうした構造材にとどまらず、内装や外装の木質化において、大径材の利活用が重要性を増してくるといえます。

建築物の内装制限

 非住宅分野では、敷地条件や建物の規模、用途により様々な基準が設けられており、建物の用途によっては内装に木材を利用することが制限されている場合もあります。内装木質化に関連する主な法令としては、建築基準法と消防法があります。
 建築基準法では、火災初期において火災の拡大を抑え、安全な避難を実現することを目的とした制限がされています。一方、消防法では、消防用設備などを、防火管理や消防活動で機能させる仕組みとなっており、両法合わせて火災時に人命を守るために必要な建築物の安全性を確保しています。
 建築基準法では、内装制限の対象となる建築物を、用途や建築物の耐火性能、規模などによって規定しています。ただし、制限を受ける特殊建築物の内装であっても、居室などの1.2m以下の腰壁部分については制限を受けず、木材を利用することができます。更に、学校などは、火気のある部屋や、地階、窓のない居室とその避難通路を除けば、教室や廊下の内装を木質化することが可能です。
 また、内装制限が適用される壁、天井について、柱や梁などの木部が室内に面する場合、木部の見付面積が全ての壁面及び天井面積の10分の1以内であれば、地階や無窓居室、火気使用室を除き内装制限の対象となりません。
 特殊建築物などの居室には、天井面と壁面に難燃材料を張ることが必要ですが、天井を準不燃材料とすることで、木材を壁面全体に用いることができます。ただし、表面に火炎の伝搬を著しく助長するような溝がなく、25o以上の板厚の木材が必要となります。

内装木質化の意義

 無垢材は、特に国産針葉樹の無垢材は、軟らかくて温かみのある感触に加え、断熱性や調湿性に優れています。 室内の温度変化を緩やかにし、住まいの快適性を高めてくれるという、優れた性質を有しています。近年では、内装の木質化に関する科学的データも蓄積され、ストレスの減少や、睡眠効率の上昇、インフルエンザの罹患率の減少など、生理的・身体的な効果があることが明らかとなりつつあります。
 人工林の大半を占めるスギをはじめとした針葉樹は、古来より日本人の暮らしと関係性が深く、家や家具をはじめ、樽や桶、工芸品、船など、あらゆる用材として活用されてきました。しかし、日本人の生活様式は戦後、大きく様変わりしました。畳から、椅子を使うフローリングが主流となり、屋内で靴を履くシーンも増えました。更に、筆記具も軟らかい筆からペン先の硬いボールペンに変わるなど、床も、机もキズがつきにくく、表面が硬い木材が求められるようになりました。軟らかく傷つきやすいスギの用途は限定されていきました。内装材については、軟らかい針葉樹ではなく広葉樹へ、更には、樹脂や金属製品といった非木材製品化が進んでいきました。使うために植林され、人の手によって育てられてきた国産針葉樹の消費は減少することとなりました。
 それに対し、「公共建築物等木材利用促進法」の目的は、これまで育ててきた森林を伐採し、この経済効果によって林業を持続可能な産業とすることにあります。森林大国である日本において、人工林の針葉樹で「木質化」を行うことは、利用率が低迷していた針葉樹の新たな需要拡大につながるだけでなく、林業の再生による地域創生や、さまざまな公益的機能を発揮する森林環境の整備にもつながります(図3)。

進化した無垢材「Gywood®」

 木材に関しては、集成材、合板、木質燃料などで大量に生産・消費することによって、資源の循環利用に貢献する仕組みづくりを行っていくことが大切です。一方で、長い時間と手間暇をかけて育てられた大径材については、付加価値を高めるような需要の開発を行うことも重要といえます。何十年もかけて育った木は、大径材のまま無垢材として、人の手に触れるところ、人が集まるところに使うことで、その価値を多くの方々が感じられるようになります。
 ナイス鰍ヘ、軟らかく傷つきやすいという針葉樹の無垢材の弱点を克服するとともに、針葉樹と広葉樹の物理的な長所を兼ね備え、現在の日本の生活様式に順応し、人に優しい空間の創出に寄与していける技術として、表層圧密テクノロジー「Gywood®(ギュッド)」を開発しました(図4)。
 日本のスギに代表される針葉樹は美しい年輪を持っています。年輪とは木目であり、春夏秋冬、日本の四季のなかで育まれた「自然の意匠」です。見る人に心地よさをもたらすその模様は、誰にでも愛される自然素材といえます。しかし、「木材」「建築材料」として使用するときには、キズなどを気にするような場所に使うことが不向きとされるなど用途が限定され、反りや割れ、膨張・収縮といった施工後の変形といった不安がありました。
 表層圧密テクノロジー「Gywood®」は、スギやヒノキ、アカマツなど、軟らかいとされる針葉樹の無垢材の表層部を特に高密度化することで、素材としての硬さや強度を向上させ、更に一般的な無垢材と比べて形状安定性を高めることに成功した「無垢の新素材」です。針葉樹の美しい木目の意匠や、質感、風合いを保ちつつ、表面をほどよい硬さにしています。針葉樹の弱点であった傷つきやすさを克服しつつも、内部は針葉樹の軟らかさをそのままとし、キズに強くて、軽い素材となっています。

「Gywood®」の特性」

 「Gywood®」は、表層を高密度化することで、木が本来持つ機能の一つである調湿性を損なうことなく、形状安定性は通常の無垢材と比べて向上しています。また、形状安定性が向上したことで、これまでの針葉樹の無垢材では難しいとされていた、幅広で薄い「板材」への対応を可能としています。
 「Gywood®」には、キズに強いだけでなく、衝撃を和らげるという特長もあります。単純に木材を高密度化してしまうと、スギなどの針葉樹が持つ軽さや断熱性、温かさ、弾力性といった特徴が失われてしまい、硬くて重たくて冷たい素材となってしまいます。また、木材加工の段階で樹脂処理や化学製品等を使用してしまうと、無垢材の本当のよさが損なわれてしまいます。
 「Gywood®」では、表層部だけを特に高密度化し、中層部はそれほど高密度化していません。そのため、床で転んだり、物を誤って落としてしまったりしたとき、木が本来持っている塑性や弾性といった性質が発揮され、ケガや破損などが起こりにくいという特性があります。
 内層部は比較的低密度で、空気を多く含んでいるため、熱伝導率が低く、一般的な無垢材と同様に、触った感じは熱くも冷たくもありません。床に使用した場合、冬場でも冷たく感じることがなく、素足でも快適に過ごすことができます。
 「Gywood®」は意匠性にも優れています。最大4mまでの長尺や、38oまでの薄型にも対応可能です。仕上げは焼成や白木のほか、拭き漆や藍染め、ガラス塗装など様々な塗装と組み合わせることもできます。

地域材の魅力向上に寄与

 「Gywood®」は、大径木らしい大きな無垢の板材によるインテリア、エクステリア、家具等へ活用できます(図5)。更に、地域のブランド材の活用や森林認証材の活用にも対応できます。大切に育ててきた木が、それに見合った付加価値をもって、地域材として都心部や他県、また海外で利用される仕組みをつくっていくことで、各地の林業のモチベーションを高め、人や環境を育てていく原動力にしていくことを目指しています。
 ナイス鰍ヘ、各地域の山林家や製材・加工業者、行政機関などが推進する地域材の魅力向上とブランド化について、地域の「ふるさと材」として商品の企画や開発、流通、販売の提案をするとともに、県域、企業、教育機関、行政機関といったそれぞれの枠を越えた水平連携・垂直連携のコーディネートを行っていきます。
 更に、全国から良質な国産材を調達できる「多産地連携システム」による調達力に加えて、ファブレスメーカーとして、表層圧密テクノロジー「Gywood®」をはじめとした高付加価値な無垢材を活用し、地元とのコラボレーションを図りながら「木造化」「木質化」を推進していきます。