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ナイスビジネスレポート

経済産業省・国土交通省・環境省 2018年度ZEH推進事業
3省連携によるあらゆる住宅の省エネ・省CO2化を推進

 経済産業省・国土交通省・環境省はこのほど、2018年度予算案として「ネット・ゼロ・エネルギーハウスの推進に向けた取り組み」を公表しました。これは、3省が連携して住宅の省エネ・省CO2化に取り組み、これまで中心だった注文住宅や中低層集合住宅に加えて、分譲建売住宅や高層の集合住宅などあらゆる住宅へとZEH化支援を拡充します。

3省連携でZEH普及策を推進

 政府はこのほど、2018年度のZEH支援事業の概要を公表しました。これまで各省ごとに実施していた住宅の省エネ性・断熱性向上に関する支援事業について、2018年度は経済産業省・国土交通省・環境省の3省が一体となって推進します(図1)。政府はエネルギー基本計画の中で、ZEHの普及に向けて「2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」という目標を掲げています。現在、有識者委員会を設置し、注文住宅に加え分譲建売住宅や集合住宅等を含めたロードマップの見直し・拡充及び取りまとめが進められています。更に、新たに集合住宅に関するZEHの定義の確立など、今年度内の取りまとめを目指すとしています。
 具体的には、環境省はこれまで経済産業省が実施してきたZEH支援事業を引き継ぎます。国土交通省は、「中小工務店が連携して建築するZEH」として、引き続き地域型住宅グリーン化事業への支援を行うほか、サステナブル建築物等先導事業として、更に省CO2化を進めた先導的な低炭素住宅、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅も支援します。また、経済産業省は「将来の更なる普及に向けて供給促進すべきZEH」として、より高性能なZEHや、今後の普及拡大が求められる分譲建売住宅、6階建て以上の高層集合住宅への支援を実施します。このように、各省の役割が明確化されています。
 また、全てのZEHについて、今後は建築物省エネルギー性能表示「BELS」が必須となるほか、高性能建材による住宅の断熱性能向上リフォームについては、経済産業省・環境省の2省が連携して行うとしています。

従来のZEHは戸当たり70万円補助
ZEH等による低炭素化促進事業

 環境省では、ZEHの要件を満たす一戸建住宅の新築・改修に対し、戸当たりで定額70万円、蓄電池については別途3万円/kWh(上限30万円かつ、補助対象経費の3分の1)が補助されます。このほか、定額加算として、CLTなどの低炭素化に寄与する素材を、構造耐力上主要となる壁や床版、屋根版に使用した場合、または地中熱や太陽熱を利用する先進的な再生可能エネルギー(再エネ)熱利用技術を活用する場合は、更に戸当たり上限90万円が追加で補助されます。なお、セルロースナノファイバーについては、今後の製品開発や市場を踏まえて検討するとしています。
 また、都市部狭小地での2階建て以上の住宅を対象として、太陽光発電システムなどの再エネ設備の導入を求めない「ZEH Oriented」が新たにZEHの支援対象となりました。

新たなZEHに戸当たり115万円
ZEH+実証支援事業

 経済産業省では、高性能なZEHとして新たに定義した「ZEH+(プラス)」への支援を行います。「ZEH+」とは、ベースとなるZEHの要件をクリアした上で、一次エネルギー消費量の削減率は、再エネを除いてZEHよりも5%高い25%が求めらます。また、再エネの自家消費拡大措置も求められ、@外皮性能の更なる強化、A高度エネルギーマネジメントの導入、B電気自動車を活用した自家消費の拡大措置の3つの要件のうち、2つ以上の採用が必須となります(図2)。補助額については、戸当たり定額115万円で、蓄電システムについては別途3万円/kWh(上限45万円かつ補助金対象経費の3分の1)となっています。なお、「ZEH+」についても環境省のZEHと同様の定額加算が併用可能です。
 また、ZEH、「ZEH+」いずれも寒冷地(地域区分1・2)や低日射地域(日射区分A1・A2)、多雪地域(垂直積雪量100p以上)に限り、再エネを含むエネルギー削減率を正味75%以上100%未満とする「NearlyZEH」と「NearlyZEH+」についても同様の補助が認められます。
 採択方式は、環境省が行うZEHについてはこれまで同様、先着方式で5月下旬ごろに最初の公募が行われる予定です。経済産業省が行う「ZEH+」については、ビルダーごとの事前枠付方式となり、募集開始時期は注文住宅については4月ごろ、分譲住宅については6月ごろの予定となっています。

新たなZEHビルダー制度を開始

 更に、ZEHビルダーのZEH普及への取り組みを加速させるため、新たに「ZEHビルダー5つ星表示制度」をスタートします。これは、ビルダーの評価に応じて星を付与する制度で、以下の5項目(1項目が星1つ分に相当)から成ります。
 今後、星5つを獲得したビルダーのみZEHビルダー一覧に掲載されるとしています。

中小工務店には140万円を補助
地域型住宅グリーン化事業

 中小工務店が連携して建築するZEHについては、引き続き国土交通省がZEHの施工経験が少ない事業者に対する優遇措置として、「地域型住宅グリーン化事業」で対応します。同事業は、地域工務店と流通事業者、建材メーカーなどがグループを組み、協力して良質な住宅建築を進めるもので、長期優良住宅や認定低炭素住宅とともにZEHも推進します。補助額は掛かり増し費用の2分の1以内、かつZEH施工経験4戸未満の工務店で戸当たり140万円、4戸以上は125万円を上限としています。そのほか、主要構造材の過半で地域材を使用する場合には20万円、三世代同居対応工事を実施する場合には30万円を限度として追加補助がなされます。
 また、同省は「2018年度サステナブル建築物等先導事業」として、LCCM住宅を推進していきます。LCCM住宅とは、資材製造、建設、修繕、更新解体までのトータルでのCO2の収支がマイナスとなる住宅のことです。支援の対象となる住宅は、ZEHの要件を満たしCASBEE(建築環境総合性能評価システム)評価でB+ランク以上、もしくは長期優良住宅の認定などといった品質を確保したものとなります。補助額は、建設に関わる建材・設備などの掛かり増し費用の2分の1以内かつ戸当たり125万円が上限となります。

分譲住宅は経済産業省が推進
分譲建売住宅におけるZEH実証支援事業

 経済産業省では、分譲建売住宅への支援事業を新たに開始します。支援対象はZEHビルダーが建てるZEHか「ZEH+」で、定義や要件、補助額は注文住宅と同様です。補助金交付を受け取る対象は、分譲建売住宅のディベロッパーであるZEHビルダーとなりますが、購入者が決まっている場合は購入者が申請でき、この場合は注文住宅と同様の扱いとなります。
 申請に当たっては、10戸以上でまとめて行う必要があります。同一街区である必要はありませんが、一体的な広報活動などが条件となるほか、ウェブサイトやチラシなどにBELS及びZEHマークを活用することが求められます。事業年数は、最長2年度まで認められます。ただし、各々の年度で補助対象経費を申請する必要があり、各年度で進捗に応じた補助金の交付が行われます。また、入居後2年間にわたり居住者にアンケートに協力するよう求め、その点を契約書の注意事項等に明示する必要があります。

省エネリフォームは2省連携
分譲建売住宅におけるZEH実証支援事業
省エネルギー投資促進に向けた支援補助金

 住宅の断熱性向上リフォームの支援については経済産業省と環境省が連携して実施します。 経済産業省は新たに次世代省エネ建材の導入支援を予定しています。これは、既存住宅の断熱・省エネ性能の向上を図るため、工期短縮が可能な高性能断熱建材や蓄熱、調湿等の付加価値を有する省エネ建材の導入を支援するものです(図4)。1事業当たりの補助率は2分の1となっています。
 2017年度に経済産業省が実施していた「高性能建材による住宅の断熱リフォーム事業」については、経済産業省と環境省が連携して行います。これは、ガラスの交換や外窓交換、内窓設置、天井や壁、床等の断熱といった一定の省エネ効果が見込まれる高性能建材を用いた住宅の断熱改修について、経費の一部を補助するものです。補助率は3分の1かつ、一戸建住宅は戸当たり120万円、集合住宅の場合は戸当たり15万円を上限としています。

蓄電池の設置も補助

 同事業は、2017年度は断熱改修に限定していましたが、2018年度は蓄電池や蓄熱設備の導入にまで拡大する予定です。対象の一戸建住宅に10kWh未満の住宅用太陽光発電設備が設置されており、一定の要件を満たした家庭用蓄電池や家庭用蓄熱設備を設置する場合に、設備費と工事費の一部を補助します。一定の要件とは、機器間の連携を促進するため、通信規格「ECHONET Lite」対応でアプリケーションがAIF認証を取得していること、更に家庭用蓄電池については自家消費を優先した運転とすること、家庭用蓄熱設備については冷媒に自然冷媒等を用いていることなどとなっています。
 補助額は、家庭用蓄電池の設備費については上限を3分の1として定額3万円/kWh、工事費については別途で上限5万円です。家庭用蓄熱設備は設備費と工事費の合計で上限5万円が別途補助されます。
 今後、ZEH支援事業と合わせて同一団体が公募、審査、支払い等を実施する予定です。