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ナイスビジネスレポート

新春2大イベント 特別パネルディスカッション
住宅業界の市況予測と各社の戦略

 1月23日に福岡で行われた「新春賀詞交歓会」と1月26日に東京で行われた「新春経済講演会」では、住宅業界を代表するメーカー・商社の経営者の方々による特別パネルディスカッションが開催されました。人口知能(AI)やIoTが世界を席巻し、第4次産業革命の到来が差し迫る中、日本経済及び世界経済の見通しや市況の動向、各社の戦略などが示されました。今回はその一部を収録してお送りします。


今年の経済と業界の見通し


平田 新年の幕が明け、各国の動向などによる日本経済の影響や景気の先行きなどが関心どころとなっています。日本経済や世界経済、業界の動向などについてお聞かせ下さい。
角柄 世界経済は現在、緩やかな成長を期待した「適温経済」の中にあり、先進国での大規模な金融緩和、あるいは低金利政策、原油価格の回復を背景として回復基調にあります。日本においても、堅調な海外市場に輸出が支えられ、2017年の第3四半期まで、7四半期連続で実質経済成長がプラスとなりました。更に、企業収益が過去最高益を記録するなど、「失われた20年」の出口が見え始め、引き続き底堅い景気が続くと見ています。成長率についても1.0〜1.3%ぐらいは見込めるとも考えています。
 懸念材料としては、物流や建設の人手不足、職人不足で、資源高と合わせた様々なコストアップをどうマネージメントするかが今年の課題ではないかと考えています。
井上 世界には潤沢に資金が供給されています。FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル新議長は金融正常化へ向けて加速するかと思いますが、まだ3兆8千億ドルを供給しており、債権購入額を縮小したドラギ総裁率いるECB(欧州中央銀行)もユーロを、また黒田東彦日本銀行総裁も474兆円を市場へ供給しており、3極で実に約1,200兆円を超えるマネタリーベースがあります。これらを基礎として世界中に潤沢なマネーサプライが流通していることから、資源及び原油価格も上昇を始めています。日本株式市場へも資金流入が続くと考えます。
 住宅着工戸数については、低金利政策の追い風はあるものの労働力不足により微減すると見ています。また、合板需給ですが、新しい合板工場の建設計画や生産量増強の設備投資計画もあり、早晩バランスは取れてくると考えています。
億田 住宅着工戸数については、今年の前半は、持ち家、賃貸、分譲マンションは弱含みと見ますが、一戸建住宅の分譲だけは好調に推移すると見ています。後半には、来年10月の消費増税が決定すると思われます。前回の経験を踏まえると、来年3月末までの契約に対して経過措置が設けられると考えられ、今年の後半から活性化すると考えています。合板の需給がひっ迫しているというお話がありますが、薄物合板の代替としてMDFを提案することで需要に応えていきたいと考えています。
 高齢者の増加に伴い住まい方も変化します。メーカーとして、介護・医療に係る施設の建設や自宅のリフォームに応えるモノづくりはもちろん、更に一歩踏み込んだ工法の提案についても、積極的に取り組んでいきたいと考えています。
喜多村 住宅着工戸数の動向については、昨年高い水準で推移した持ち家は引き続き低金利により好調な状態が続き、後半には消費増税の駆け込み需要も少し出てくると見ています。しかし、早い人は今年の4月以降から動くと思われ、2014年の増税時と比べ、振れ幅は半分ほどと見ています。一方で、分譲マンションは価格の高騰と契約率の低下、在庫の積み上がりなどにより、今年も供給は慎重と考えています。
 海外に目を向けると、中国経済については、バブルと言われて既に10年近くになります。急な引き締めや緩和など、中国政府のいろいろな意向が働いていますが、間違いなく言えるのは、住宅需要は底堅いものがあるということです。生産大国から消費大国になる中で、良質なモノを求めるという消費マインドが非常に強くあり、今年も堅調に推移していくと考えています。
山中 世界経済は好調ですが、アメリカやEUをはじめ、各国の政治情勢が非常に不安定な点が懸念されます。政治が経済の状況にどう影響してくるのかについては、十分に注意しておく必要があると思います。また、金融緩和が続き、世界経済の体温が上がってきました。金利や原油相場が上昇に転じ、当社の資材関係についても上がり始めています。こうした、金融緩和の副作用がどの程度出てくるかも大きなポイントと考えています。
 サイディングの需給については、当社の工場では1ラインを新設し、もう1ラインは2商品対応に変更したことで、かなり生産能力をアップさせています。しかし、職人不足の影響がかなり出始めていることで、生産は可能でも、施工が追い付かない可能性があることを危惧しています。
北野 2018年の経済情勢について、悲観的な要素が見えにくいというのが実感です。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた先行的な需要もあり、国内はまずは手堅いと見ています。消費増税の影響については、暦年で見た場合には、年末に少しだけ押し上げ要素がある程度と見ています。
 一方で、いわゆる「2020年の崖」については、職人不足や原材料の高騰により、基本的には首都圏を中心に建設が後ろにずれ込んでいるという傾向にあります。そういう意味では、2020年は「崖」ではなく、その後3〜5年ぐらいは堅調に進むだろうと見ています。将来的には住宅着工戸数が60万戸に近付いていくことも含めて、10〜20年の中長期的スパンでじりじりと減少していくという見方をすべきと考えています。
須藤 今年の住宅着工戸数については、マンション価格の上昇に伴う在庫の積み上げや買い控え、賃貸住宅の供給過剰もあり、前半は若干低調と見ています。後半には消費増税による駆け込み需要が出てくると思いますが、人手不足による施工力の不足も伴い、前回のように短期間で受注が集中するようなことはないと見ています。  東京オリンピック・パラリンピックの需要については、今年の秋口から一部の内装工事が始まるとされており、後半から来年に向けて需要が出ると考えています。また、2020年以降については、世界各国で国家的なイベントが終わった後は建築不況が起きるということが通例です。今回もそれに倣うというのが当初の見方でしたが、その後も物件があるという声が聞かれるようになりました。ただ、このあと何年続くかは、人口の減少と公共投資の減少に伴い、長期間にわたって住宅も非住宅も少しずつ低下していくという懸念は残ります。
大坪 日本経済については、2017年に日経平均のEPS(1株当たり純利益)が1,500円を超えました。この指標を見ると、実は2016年と比べると8%ぐらい成長をしていることになります。今の日本の上場企業の業績は堅調に推移しており、今年もまた8%程度の増益をするだろうと見ています。また、2018年の住宅着工戸数については、持ち家、分譲について若干の増加傾向、貸家は一巡して落ち着きを見せ、貸家、分譲マンションは少し減っていくという見込みです。2019年の消費増税に合わせて恐らく実施されるだろう経過措置をにらみ、着工戸数は前半より後半に集中すると考えています。


各社の戦略や注目商品


平田 今年の戦略や2月に東京で開催される住まいの耐震博覧会での見所などをお聞かせ下さい。
角柄 当社では、将来的な住宅着工戸数の減少を見据え、これに左右されない事業ポートフォリオの組み立てを考えており、今年は、非住宅分野、海外展開、国内流通事業の強化の3点に注力していきます。
 国産合板の需給については、新設の工場や生産設備が稼働し始めますので、ひっ迫感はだいぶ緩和され、需給バランスはとれてくると見ています。ただし、輸入合板については、環境規制による南洋材の伐採減や、労働者賃金及び接着剤のコストアップなどにより、大量の入荷や価格が落ちるといったことは考えにくく、全体として、合板市況は引き続き堅調に推移すると考えています。
 クリーンウッド法について、当社では、林野庁のガイドラインに基づいて、合法材として承認された木材、木材製品を扱うことを基本とすることをうたっており、現在、法対応の準備を進めています。
井上 セイホクグループは、1999年から「地球環境の保護と住環境の充実を目指して資源循環の社会を次世代へ」をコーポレートミッションとして事業を展開しています。森林は100年の計をもって育てることが大切です。パリ協定でCO2吸収源として森林の大切さに言及しています。木は極力燃やさないことが重要で、木材製品にしてリサイクルもすることで、炭素の固定化を継続することができます。
 クリーンウッド法が制定されましたが、合法木材を使用することは言わば当然で、それに加えて持続可能性に配慮することが必要です。当社はその両方を備えた国産材合板をフル生産して安定的にお届けします。そして日本の森林を再生する事業を続けていきたいと思います。木材自給率50%の達成を目指すAKG(あらゆるところに、国産材、合板)50をご支援下さい。
億田 当社は、公共・商業建築分野、住宅リフォーム市場、海外市場の開拓に力を入れています。海外市場については、ASEAN地域を重点市場と位置付け、2016年にインドネシアで内装ドア工場を立ち上げました。これに先立ち設立した施工販売会社とともに、一貫体制で事業拡大を図っています。
 今回の住まいの耐震博覧会では、特に力を入れている壁材「グラビオ」「ハピアウォール」に注目いただきたいと思います。また、リフォーム用床材「サーモプラス」も出展します。これは、「床をリフォームしたいけど、床暖房があるから」という声に応えて開発した商品で、今ある床暖房システムの上から貼るだけという、省施工なリフォーム専用の床材です。床暖房の温かさはそのままに、お部屋を一新することができます。メンテナンス性や耐傷性にも優れ、ワックス掛けが不要でお手入れが簡単、引きずり傷や凹み傷にも強く車いすもご使用いただけるため、皆さんに大変好評をいただいています。ぜひご覧下さい。
喜多村 リフォーム需要については、株価の上昇など景気が良いと少しずつ上がってきますので、現在は良い雰囲気にあります。リフォームは成長産業であり、今後も安定的に伸びていくと考えています。お客様にリフォームをお勧めするに当たっては、数値でお伝えするよりも、例えば、高断熱の浴槽であれば「夕方お風呂に入ったあと、10時にお父さんが帰っても冷めていませんよ」といった、生活のスタイルで伝えていくことが大切です。
 また、施工や施工を含めた価格、アフターサービスなどへの心配については、メーカーとしても、工務店様と一緒になってお客様の声を共有し、それに対して応えられるような体制をつくっていきたいと考えています。
山中 サイディングのプレカットについては、人工知能(AI)やセンサー技術の長足の進歩による工夫が進んだ途端、爆発的に広がる可能性があります。それまではラフカットを進め、なるべく端材が出ない体制に取り組んでいきます。
 また、住まいの耐震博覧会へは、国産木材チップを利用した外壁材の新シリーズを出展します。新たに開発した超高耐侯塗料により、業界で初めて「塗膜30年保証」を実現した商品で、今年2月に発売予定です。期待耐用年数は40年を超え、その間の壁の塗り替えが不要になります。これにより、特に「Fu−ge(フュージェ)」については、シーリングを使わないため一世代にわたって外壁についてメンテナンスフリーとなります。ご期待下さい。
北野 当社は今年3月、スマートHEMSの中核となる機能を強化し、自社製品だけでなく他社製機器にも対応できる新しい「AiSEG(アイセグ)2」を発売します。これにはAIを搭載し、翌日の天気予報によりエコキュートの沸き上げ量をコントロールするといったことが可能となります。将来的な展開としては、AIスピーカーと連動させ、照明やエアコンといった家の中の器具や設備の情報のゲートウェイとしてコントロールすることもできるようにします。
 照明や音響・映像機器、空気清浄機などグループの総合力を生かし、トータルとしての生活空間を、先行的なものも含めて提示していきたいと考えています。また、AIやIoTが住宅業界にどういう影響を与え、どういうチャンスがあるのか、今後どういう武器として使われるのかということも一度整理し、皆様方とディスカッションをしていきたいと考えています。
須藤 弊社の企業理念は「安全で快適な住空間を創り、皆様方に提供する」ということです。今年もこの方針に沿って様々な展開をしていきます。石膏ボードは12.5ミリ以上のものは不燃です。つまり、20分間、火災現場から逃げる時間ができ、生命や財産を守るものです。
 これに健康の要素を加えて、従来から展開しているホルムアルデヒドを吸収分解する「ハイクリンボード」、更にアセトアルデヒドも吸収分解する「ハイクリンボードAce」の展開、また、耐震耐力壁である「タイガーEXボード」を更に展開していくつもりです。
 また、現在、一戸建住宅の現場への配送での荷卸しがドライバーの大きな負担となっているケースがありますので、皆様のご協力の下、改善していきたいと考えています。
大坪 当社グループはこれまでのグローバルから国内重視に方針を転換し、いろいろな施策を打っているところです。そのような中、今年4月に家電だけでなく建材とAIスピーカーを連携させ、住まいをトータルでIoT連携させるシステムを発売する予定です。これにより、例えば、玄関ドアの施錠やシャッターの開閉、エアコンの作動などを、AIスピーカーを通じて行うことができます。車にAIが搭載される時代でもありますので、今後、住宅についても間違いなく、この流れは進んでいくと見ています。  また、当社が考えているリフォームの提案の中で、今非常に好評をいただいている「リシェルSI」というセラミックトップを採用したキッチンがあります。今回の住まいの耐震博覧会では、このシリーズとしてハイブリッドクォーツシンクという、国内初となるクォーツ(石英)と樹脂を合わせたシンクを搭載した商品を初公開させていただきます。ぜひご期待下さい。
平田 長時間にわたり誠にありがとうございました。パネリストの皆様にはご出席の皆様への特別な支援を、ご出席の皆様にはメーカー様の商品の拡販をよろしくお願いいたします。



世界経済の見通しと業界動向


平田 今年の日本と世界の経済見通し、そして業界動向についてお聞かせ下さい。
柴田 成熟経済である日本の潜在成長力はおよそプラス0.6%から0.9%程度と言われている中、IMF(国際通貨基金)は昨年の日本の実質経済成長率を1.8%と発表しました。これは非常に良い数字であり、賃金は上昇基調、雇用も安定しており、今年もプラス1.2〜1.5%程度の実質経済成長率になると見ています。株価の上昇は資産効果もあり、歴史的低金利は今年も続くと思われます。来年には消費増税も控えている中、住宅取得環境としては今年も非常に良いと考えていいと思います。世界経済については世界同時好況、「適温経済」の中にあります。どこも悪いところがないという状況であり、今後もアメリカ、ヨーロッパともに順調に経済成長していくものと見ています。
大道 住宅着工戸数は、持ち家も貸家も昨年11月まで6カ月連続で前年同月比マイナスとなりました。来年予定されている消費税の増税に向けた駆け込み需要によって状況は変わるでしょうが、昨年よりはダウンすると見ています。パワービルダーも大手ビルダーも、エリアナンバーワンの会社はより力を付けて、中堅以下との差が鮮明になっています。また、住宅だけでなく非住宅分野にも積極的に取り組む会社は、住宅の落ち込み分をカバーすることで、やはり元気があるように感じます。
 今年は、東京オリンピック・パラリンピックを2年後に控えた年でもあります。最後の好調な1年として緊張感を持って捉えると同時に、その先を見据えながら商圏や業態についても慎重に、真剣に考えていきたいと思います。
野浦 北朝鮮情勢など、世界経済は予断を許さない状況です。我々は、「何があってもおかしくない」と常に緊張感を持って経営を進めていく必要があります。日本経済については、消費増税に伴う駆け込み需要が見込まれるのと同時に、来年5月より新元号が始まるということで、活況を呈することが十分に考えられます。
 業界動向としては、熊本地震以降、軽量な屋根材及び外壁材は地震に対する優位性が高いことが改めて認識され、軽量屋根材「ROOGA(ルーガ)」の昨年度の売上高は前年比140%、更に今年度も2桁増と順調に伸びています。今後も、皆様とともに地震への優位性を訴求し続けていきたいと思います。
舩田 建築投資について、住宅は低金利や賃金上昇、株価上昇などを背景に昨年と同水準で推移し、非住宅も人工知能(AI)やIoT、工作機械、半導体、労働環境改善に向けた設備投資が今年も増加傾向にあると考えられ、日本の景気は今後も好調が続くと思います。世界経済に目を向けても、中国及びアメリカを中心に非常に好調で、ヨーロッパもこのまま堅調に進むものと思います。ただし、日本だけでなく世界が同時に景気の良いこと、また中国の環境規制の問題で鉄や銅、アルミといった原材料価格が相当のレベルで上昇しつつあることなどから、最終的なトータルコストの面でどうなるかによって企業収支は大きく変わってくると考えています。
國井 今年は国内、海外ともに経済情勢は非常に良いと考えています。アメリカのトランプ大統領の言動に伴うリスクについても、昨年の状況を考えればさほど心配はないと思います。あえて不安要素を挙げるとしたら、今秋に行われる中間選挙でしょうか。国内におけるリスクとしては、人手不足と原材料価格のアップが上げられます。少子高齢化と人口減少が進んでおり、これに伴い人手不足が顕著に現れています。特に、生産現場では職人さんが足りず、その分賃金は上昇しています。加えて、原材料価格は上がっているにもかかわらず、最終完成品の価格の上昇はそれ以下にとどまっていることは、企業業績に大きな影響を及ぼすと考えています。
中川 消費増税前の効果は、今年7月以降に出てくると考えています。しかし、前回、2014年の消費増税時には増税前1年間で住宅着工戸数を110%以上押し上げ、増税後に10%程度割り込みましたが、今回はこれほど大きなブレはないと見ています。一方、リフォーム市場は消費者態度指数が4年ぶりに高水準となったこともあり、富裕層を中心に動き、前年比102〜103%の6.5兆円規模と見ています。また、2019年には10年間の再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の買い取り期間が終了する所帯が全国に56万所帯出てくるとされています。それに伴い、パワーコンディショナーの取り替えや蓄電池の設置といった需要が、下半期ごろから顕在化してくるのではないでしょうか。
八木 少子高齢化、人口減少と社会構造が変化する中、リフォームする際のお客様の動機付けは変わりつつあります。例えば、既に近隣に人がいないのにリフォームしてまでそこに住み続けるかと考える人もいるかもしれません。リフォームのあり方をもっと社会システム全体で捉え、行政を巻き込みながら考えるべきと思います。
 当社はアメリカ・オハイオ州に現地法人があります。とても寂しい町でしたが、トランプ大統領が「アメリカファースト」を掲げてから景気は回復、賃金が上がり、人の流動化が進む中、喫緊の課題は雇用確保です。その意味で、人手不足を補うシステム開発が重要で、イノベーションは更に加速していくものと思われます。

各社の戦略と注目商品


平田 経済見通しに基づく今年の戦略や、注目商品についてお聞かせ下さい。
柴田 合板は、屋根野地使用やネダノンの普及で、一戸当たりの合板消費数量が増加傾向にあります。こうした中、マレーシアやインドネシアでは環境問題などから原木の供給が制限されており、南洋材の合板価格は上昇基調にあります。一方、国産丸太は今、恐らく世界で一番安いのではないでしょうか。国産合板の価格競争力が高まり、昨年の国産比率は53%に上っています。
 今年の大きな課題は、素材価格のアップだと考えています。一般的に物価があまり上がっていないのでインフレの感覚はないのですが、企業間取引の価格水準を数値化した企業物価指数のうち、輸入物価指数は昨年12月時点で前年同月比10%超となっています。今年は、製品に対する素材の占める比率が高いものについては、間違いなく製品価格は上昇すると思います。
 「脱炭素社会」の実現に向け、住宅業界ではこれからZEH化に向けた動きが急速に進んでいくと思われます。また、国は2019年より順次FITの買い取り期間が終了することを踏まえ、一定の条件の下で蓄電池等の設置補助金を決定しました。こうした動きに伴い、これからは電気を売るのではなく、電気を自給自足する時代に突入していくのではないかと考えています。
大道 南洋材合板の現地価格は今、異常な高値となっています。直貼りフローリングは針葉樹合板ではつくれず100%南洋材を使っていますが、1×6フローリングについては、針葉樹合板の採用率が他社と比べても一番進んでおり、全体の5割近くが国産材となっており、国内製造のものに限れば6割近くを国産材で生産しています。
 現在当社で注力しているのが、多品種少量生産と短納期化です。先ごろ、インクジェット技術を応用したデジタル印刷機を導入しました。これまでより加工範囲を広げ、省施工化を実現した正寸プレカット階段と、デジタル印刷を組み合わせ、オンデマンド対応を可能にする予定です。また、非住宅分野における取り組みでは、特に待機児童問題の解決に向け政府が手厚い助成を行っている幼稚園や保育園に対する製品ラインアップを充実させ、営業強化を図っているところです。クリーンウッド法については、既に当社では合法木材を100%採用し、木材関連事業者登録制度への登録準備を進めています。当社の製品は、品質はもちろん、コンプライアンスにおいても安心してお使いいただけます。
野浦 昨年4月にパワーアップし、大幅拡販を目指した光触媒の外壁材「光セラ」は、皆様のご協力のもと現時点でほぼ販売目標達成の見込みです。今年度の販売量を、大気浄化能力の高いポプラに換算すると約100万本に当たります。つまり、「光セラ」を販売することは、地球環境の保護に貢献していると言えます。
 また、あるコーヒーチェーンと開発したリサイクル内装ボード「SOLIDO(ソリド)」は、デザイナーや設計士をはじめ、非常に高い評価をいただいています。今年4月には内装だけでなく外装にも使えるタイプを発売予定です。
 住まいの耐震博覧会でぜひご覧いただきたいのが、グッドデザイン賞も受賞した最高級グレードの外装パネル「レジェール」です。厚さ21ミリの同商品は重厚感があり、9ミリの深さまで柄付けできるため、デザイン性に優れています。厚みがありながら、重量は当社の15ミリ厚の商品とほぼ同等に抑えています。最新の光触媒技術を駆使し、汚れだけでなく藻を防ぐこともできる優れた商品です。会場では、1日の光の移り変わりによる美しい陰影の変化を体感できるブースも予定しており、ナイスディスプレー賞の金賞を狙います。今年3月の発売をご期待下さい。
舩田 ZEH化が進むほど、断熱と換気と空調の合わせ技が求められると思います。調湿外気処理機「DESICA(デシカ)」は、外の湿度を室内に取り込み、室内の湿度を外に逃がさないことで加湿と除湿を実現できる商品で、業務用はかなり浸透しています。住宅用についても、空調の設定温度が控えめでも、湿度コントロールで十分に暖かさや快適さを実現できます。省エネ性に大変優れた商品であり、皆様のご協力のもと普及していきたいと思います。
 家庭用の壁掛け空調機は今、省エネ性を重視するが故にどんどん前面に厚みが増し、デザイン性が損なわれているのが実態です。そこで、薄型デザインタイプのエアコン「risora(リソラ)」を、全7色を取り揃えて今年3月に発売します。ヒートショックの問題については、例えば脱衣所、トイレ、廊下など、空調が設置されていない空間に向けた、本当に超小容量の空調システム「ココタス」を今年2月に発売します。このように、これまでなかったもの、昔はあったが今ではなくなってしまった商材など、現在の社会のニーズに照らし合わせながら、積極的に開発してきたいと考えています。
國井 企業の役割は、自社の商品・サービスを通じて社会の課題を解決し、社会に貢献することです。今、社会が抱える課題には、省エネ、環境、高齢化社会があります。
 省エネについては、一般家庭で使用されるエネルギーの約3分の1が給湯システムと言われており、これをいかに削減していくかが課題です。当社は、給湯器のベースをエコジョーズやハイブリッド給湯・暖房システムなど、より高効率なものへの切り替えを進めています。環境については、太陽エネルギーは電気よりも熱に変えるほうが圧倒的に効率は良く、当社としても太陽熱利用給湯システムを進めていく必要があると考えています。高齢化社会については、浴室での死亡事故が増加しています。特に、お年寄りは熱いお湯につかり、血圧が大きく上下してヒートショックを起こすことがあります。当社製の給湯器に搭載している「ゆるやか浴機能」はこれに対応するもので、お風呂を設定温度より2℃低い温度でたき上げ、人が浴槽に入ったことを検知してから設定温度までゆるやかに追いだきするというものです。また、入浴中に眠り込んでしまうことなどによる事故への対策として開発した「入浴タイマー」は、入浴検知後5分ごとに浴室リモコンにて音でお知らせします。今後も、社会の課題を解決するような商品開発を進めていきたいと考えています。
中川 新築についてはZEHを中心に、将来的にはAIハウスといった未来の住宅を提案できるよう、取り組んでいきたいと考えています。
 リフォームについては、高額あるいは高機能の空間提案型商品を昨年12月に発売しました。最上位機種のLクラスキッチン「いろりダイニング」は、囲炉裏を囲むようにIHを皆で囲み、住む人が楽しく集える新しい空間を提案しています。ユニットバス「マイホームリゾート」は、まるで露天風呂でくつろいでいるような心地よい空間で、更に飛び抜けた音質のスピーカーを搭載し、音楽も簡単に楽しめる空間となっています。寝室の一角に設ける「サロン ア・ラ・メゾン」は、美容行為を1カ所で落ち着いてできる女性のプライベート空間を提供します。発売以来、強い手応えを感じており、2月の住まいの耐震博覧会でも展示する予定ですので、ぜひご覧いただきたいと思います。
 テクノストラクチャー工法では、このたび最大張間15メートルに対応可能の「テクノビームトラス」を発売しました。最大で300uの無柱空間が実現できますので、非住宅についてはテクノストラクチャー工法をぜひよろしくお願いします。
八木 日本には70万橋に及ぶ橋梁がありますが、その経年劣化が社会問題となっています。当社は現在、福井県とともに補修システムの技術開発を進めています。福井県は昔から繊維王国であり、鉄骨の代わりに炭素繊維と樹脂を混ぜたものを補修に応用する研究を始めています。既に社会実験も開始しており、あと3年ほどで一つの成果を出すとともに、この技術を住宅分野にも活用していきたいと思います。
 住まいの耐震博覧会では、粒状床衝撃音低減材「サイレントドロップ」をご紹介します。昨年10月に発売したもので、従来は上階の音は上階の床下で抑えようとしていましたが、全く発想を変え、粒状の遮音材を下階の天井に置くことで重衝撃音を抑えるというものです。コンクリートで同じ大きさの音を抑制するには5センチほど増し打ちする必要がありますが、同商品は4キログラム/袋であり、しかも簡単に施工できます。福井県の間伐材とリサイクル樹脂を使用したエコ建材「プラスッド」を使ったルーバーやデッキ材も取り扱っています。当社は化学メーカーですが、環境共生社会への貢献もミッションとしてしっかりと取り組んでいきます。
平田 本日は幅広い知見をお聞かせいただき、また長期的な視点に基づく業界動向に対する各社のお考えをご披露下さり、本当にありがとうございました。工務店様、販売店様、メーカー様、そして弊社が連合軍となって衆知を集め、ともに飛躍できる1年にしたいと思います。